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俺はみどりと共に服屋に来ていた。
もう気持ちの整理が追いついたのか服選びを熱心にしている。
「おーい、そろそろ決まったか?」
「ちょっと待ってください、宮谷さん、こっちとこっちどっちがいいですか?」
女の子の服選びは時間がかかると聞いたがこんなにだとは…
呆れながらも俺は右を指さした。
「緑ですか?全身緑になれってことですか?」
下から覗き込むように目を合わせ、少し強気にそう聞いてくる。
「いやぁ、何色でも可愛いと思うけどなぁ」
目線を逸らし言い返す。
「そうですか?ほんとにそう思ってます?」
拗ねた子供のように言ってくる。
「ほ、ほんとだよ、じゃあ両方買うか?」
「え?いいんですか?」
機嫌があからさまに良くなった。
「いいよ、俺今まで1人だからお金はあるし、じゃあこれ買ったら靴も買いに行こっか」
「やったー!」
みどりはその場で嬉しそうにジャンプした。
「(娘の服選びに付き添ってる気分だな、娘はいないが)」
そんなことを考えながら俺はカゴにみどりの選んだ数枚の服を入れてレジに並んだ。
「うーん、どっちがいいかな」
先程見た光景と照らし合わせながら俺はみどりを眺めていた。
「どうなさいました?」
余程ここに居座ったせいかここのフロア担当らしきお姉さんがそう聞いてきた。
「お姉さんこっちとこっち、どっちがいいですか?」
みどりの手には白の靴と緑の靴がそれぞれぶら下げてあった。
「どちらかと言うと、こちらの緑なんてどうでしょうか?緑コーデなんかもお似合いだと思いますよ。」
みどりは単純なのかその言葉に従って緑を選んだ。
本当に緑コーデをするつもりなのか分からないがこの子が選んだことだ、そう思いながら俺は、お姉さんに「ありがとうございます。」と言った。
最後にお姉さんは
「可愛い娘さんですね、」
と言い残し去っていった。
「娘じゃ…」
俺はそう言いかけたが娘でもいいのかもしれない、そう思い口を閉じた。
みどりはそんなことにさえ気づかずルンルンでその靴を試着していた。
「ふー、もうこんな時間か」
俺は両手に色んな袋を持ち抱えていた。
日は沈みかけており、辺りには親子連れが帰っている姿がちらちら見受けられる。
みどりの私生活品など諸々買っていたらこんなに遅くなってしまった。
「す、すみません、、色々見てたらこんな時間に」
やはり女の子は買い物が好きなのだろうか、とても気分が高揚しているみどりがそこにはいた。
もう猫耳を見られることは慣れたのか忘れているのかただの女の子のようだ。
「今日はここで食べてこっか」
「はい!」
俺はファミレスの扉を開けた。
みどりといえば、すっかり数日前の穏やかな姿は消え、たまに清楚な雰囲気を出す明るい女の子になっていた。
「やっぱ、みどりは帽子とかいらないのか?猫耳とか気にならない?」
席につきそうそう俺はみどりに質問を投げかけた。
「あ、もう買ってあります!」
あれ、いつの間に買ったのだろう、1日無心でみどりについて行ったからそんなの買ったことすら覚えていなかった。
俺はメニューの適当なページを開き適応に選んだ。
少し疲れてダルさもあるが目の前の可愛らしい女の子…いや猫を見るだけですぐに癒される。
俺は
「こんな生活もいいなぁ」
と小声で言い、そっとメニューを閉じた。
時間は10時を過ぎておりみどりは今日買ったパジャマでさっさと寝てしまった。
俺は少し熱っぽく体温を測った。
「ピピピピ」
その音とともに俺は脇から体温計を取り出した。
37.8度。
「まじか、まぁ、明日は祝日だからいいけど…」
寝れば治ると思うが一応祝日だからなんとかなるだろう。
俺は少し安堵し寝室へ向かった。
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