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#高校生
第77話 「桜の下で」2023年4月。
柳城高校。
桜が満開だった。
校門へ続く坂道。
春風に揺れる桜の花びら。
新しい制服に身を包んだ新入生たち。
今日は入学式だった。
センバツ準決勝敗退から数週間。
柳城野球部はすでに夏へ向けて動き始めていた。
だが今日だけは違う。
学校全体が新しい出会いに包まれていた。
体育館。
入学式が始まる。
新入生たちは緊張した表情で席に座る。
立花理事長。
校長先生。
来賓挨拶。
そして新入生代表の宣誓。
春らしい穏やかな時間が流れる。
式が終わると。
野球部の勧誘も始まった。
グラウンドでは在校生たちが準備している。
「見学だけでもどうぞ!」
部員たちの声が響く。
その中に。
塁と史陽の姿もあった。
二人とも三年生。
ついこの前まで一年生だった気がする。
史陽が苦笑する。
「早いな」
塁も頷く。
「ほんとにな」
気付けば最上級生だった。
新入生たちがグラウンドへ集まる。
野球経験者。
初心者。
様々だった。
その姿を見ながら塁は思う。
去年。
甲子園で負けた。
春も負けた。
だが。
まだ終わっていない。
最後の夏がある。
そこへ。
聞き慣れた声がした。
「先輩たち」
振り返る。
舞だった。
大学二年生。
今日は母校へ顔を出していた。
「お前たち、もう三年生なんだね」
舞が笑う。
史陽が苦笑する。
「自分でも信じられん」
「私も」
三人で笑う。
桜の花びらが風に舞う。
しばらく沈黙。
そして舞が言う。
「あと四か月だね」
夏。
誰もがその意味を理解していた。
塁も。
史陽も。
静かに頷く。
最後の夏。
宮城育英。
全国制覇。
様々な思いが胸にある。
だが今は。
目の前の桜が美しかった。
校庭を吹き抜ける春風。
笑い声。
新入生たちの緊張した表情。
いつもと変わらない柳城高校の春。
その景色を見ながら。
塁は小さく呟く。
「今年の夏で終わるんやな」
史陽は答える。
「終わらせんといかん」
二人の視線は自然とグラウンドへ向いていた。
三年生の春。
最後の物語が。
静かに始まろうとしていた。
第78話 終
コメント
1件
天海カオルさん、第77話読み終えたよ~!🌸 もう77話も続いてる物語のこの静かな春の空気感、すごく染みた…😭💕 入学式の風景から野球部の勧誘、そして塁と史陽の「最後の夏」への覚悟が、満開の桜と重なって、ものすごくエモかったです! 特に「今年の夏で終わるんやな」「終わらせんといかん」のやり取り、短いけど二人のこれまでの道のりと覚悟がぎゅっ詰まってて胸熱すぎた🔥 まだ夏は始まってないのに、もう感動してる自分がいるよ…! #柳城野球部 #最後の夏 #桜の下で