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―「僕たち、どこかで会ったことあるよね?」
ほんとは会ったことあるって分かってる。
でも、気持ち悪がられないために
こういう風に言っているだけ。
だって、ありすちゃんは、
絶対にあの子だから。
ふわふわな髪も、
甘いミルクティーベージュの髪色も、
透き通るほど綺麗な
アイスグリーンの瞳も、
全部全部、あの子に当てはまっている。
そして、ミュゲの香りも。
「………うん。あるよ」
ありすちゃんが言った。
「やっと知れた…」
「え?」
「僕、ずっと気になってたんだ。
毎日毎日、思い出してた」
…やっと、やっと……
願いが…叶ったよ………
ずっと、ずっと…
「…会いたかった……」
「ん、ぇ?」
…あっ。思わず言っちゃった。
やばい、顔、赤くなってないかな…?
…え?ありすちゃん、赤くなってる……
「あ、は、早く食べよっ」
誤魔化すようにありすちゃんが言った。
「そうだね!」
僕たちはオムライスを口に運んだ。
「…んっ!美味しい!」
「わぁ、美味しいっ!」
僕たちは黙々とオムライスを食べた。
―― 二人は気づいていない。
二人が仲良くご飯を食べている中、
二人を恨む者が現れたことを ――
♡
―― 次の日、体育の授業中…
「初めての体育の授業は、ストレッチだ。
まず、二人ペアを組めー」
先生が言った。
そして、二人の気持ちが一致した。
(桃輝くんと…!)
(ありすちゃんと…!)
だが、届くことなく……
「神笑くん…!」
ありすちゃんを見ていたら、
突然女の子に話しかけられた。
この子の名前はたしか……
小松菜 黒葉 ちゃん。
もしかして、ペアを組みたいのかな?
「どうしたの?」
「ペア組も!」
やっぱり……
ありすちゃんとペア組みたかったけど…
なんだか可哀想だし、仕方ないか…
「いいよ」
「やった!!」
一方、ありすは…
「ありすちゃーん!」
「ふぁい!?」
び、びっくりした……
びっくりしすぎて噛んじゃったよ…
この人、誰だろう?
……桃輝くんと、よくお話している人だ。
名字は……戸下山…さん
あっ!戸下山 ダイヤ さんだ!
「なんですか?」
「ペア組もうよっ!」
ペアか……
桃輝くんは…?
あ、もうペア組んじゃったんだ。
断るのも可哀想だし…
じゃあ……
「は、はいっ!」
ペアを組むことにしよう
桃輝くんとは、また今度、ペアを組もう
「…うっ、痛い…」
「ありすちゃんっ!大丈夫っ!?」
わたしは今、前屈をしている。
前屈をして、
わたしって体硬かったんだって、
再確認したよ………
「て、手伝うよっ!」
戸下山くんが背中をゆっくり押してくれた。
でも……
「きゃあああっ」
痛い、痛いよおっ!!
「えっ、ごめんっ!痛かった?
じゃなくて、痛かったよね!?
ほんとごめん!」
「ううんっ、戸下山くん、
親切な気持ちでやってくれたんだから
謝らないでほしいなっ」
そう、わたしの体が硬すぎるだけなんだから…
私、小松菜 黒葉。
私は今、神笑くんに背中を
押してもらって、長座体前屈をしている。
「大丈夫?痛くない?」
「うん、大丈夫」
本当は、私、体すごく柔らかいけど、
神笑くんに触ってもらうために、
嘘をついてるの。(秘密だよ♡)
もう体操着、洗えないかも!///
「そろそろ、ストレッチはできたかー
じゃあ次は四人ペアを組めー」
先生がそう言うと、
「「よ、四人ペア!」」
花美さんと神笑くんの声が重なった。
花美さんは、超高速で、
神笑くんと私の所まで走ってきた。
「一緒にペア組まないっ!?」
と言った。
はぁッ!?
なんでっ!?
私はそう思ったけど、神笑くんは笑顔で
「もちろんっ!ペア組もう!」
と言った…。
う、嘘でしょ…!
よりによってこの女と…!
花美さんの二人ペアの時の相手は……
…戸下山くんか。
たーしーかー、
神笑くんと仲良かったよね?
だけど、なんか 不機嫌そー
ちょっとムスってしてるしー
「とりあえず、はじめよっか!」
神笑くんが言った。
そして、みんなで運動をはじめた。
「一旦きゅうけーーい」
先生が言った。
水分補給しよっと。
てか神笑くんどこ?
あ、いた。
また花美さんと話してる。
なんで?
神笑くんは、持っている
水が満タンに入ったペットボトルを
座って休憩している花美さんに渡した。
「ありすちゃん、どうぞ」
……名前呼び?
は?なにそれ。
私には名字のくせに。
意味わかんない。
「えっ!水筒
持ってくるの忘れちゃってたから、
助かるよ!ありがとうっ!
またお金は返すね!」
「いいのいいの!昨日のお礼!
一緒にご飯食べてくれたじゃん!」
「桃輝くん…っ!」
一緒にご飯?なんで?
神笑くんが誘ったの?嘘でしょ?
はは、きっと罰ゲームだよ。
……そうだよ!罰ゲームだよ!
あの女、騙されてるだけだよ!
私はふと周りを見渡した。
さっき花美さんとペアを組んでた
戸下山は、 なぜか不機嫌そうに
花美さんを見ている。
…まさか
「ねぇ、戸下山?ちょっと話があるんだけど…」
「んぁ?誰?……小松菜…。
ああ、小松菜 黒葉か。オレになんの用?」
「いいことよ。ついてきて。」
私は戸下山を連れて、
体育館の準備室に入った。
準備室は体育館の隅にあるから、
誰にも会話は聞こえないはず。
「戸下山。アンタ、花美さんのこと好きでしょ?」
「は、はぁ!?突然なんだよっ!?」
「好きでしょ?花美さんのこと」
「ち、ちげぇしっ!!」
「じゃあ嫌いなの?」
「………嫌いじゃねぇし」
「ふぅん。やっぱり好きなのね」
「うぅ……」
「いいのよ。
ちなみに私は神笑くんのことが好きなの。」
「かみえ…?」
「そうよ。それで、
いい考えがあるんだけど…」
「なに?」
「協力しない?