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『私は悪魔だ。』第1話
「私は悪魔だ」
産まれた時からずっと悪魔だった、悪魔の誕生は天使の誕生と同じだ。
人間というものが出来てから、私達は産まれた
動物でも植物でもない、私達はもちろん兄弟なんかじゃない。
ただ何にも属さない私達は一括りにされているだけだった
「私は悪魔だ」
そう。
「彼女は正真正銘の悪魔だった。」
約2000年前、初期のキリスト教時代(1世紀~3世紀頃)に私達は産まれた。
そこから私達は真反対の存在なのに同じ部類の「友達」という物になって行った
悪魔と天使
初めて声をかけ来たのは彼女だった
『ねぇねぇ!私は悪魔!』
なんて冗談を言ってくる
『悪魔は私だ』
そう返す
『わら。』
『わら?』
『そう、わら』
彼女の顔はなんだか優しいと言うより穏やかの方があっていただろうか
当時の私の目にはそう映った
『人間キライ?』
そう彼女は聞いてきた
『どうして?』
『悪魔は人がキライで天使はスキなんでしょ?』
『そういうもんなのかな』
『じゃあ私も悪魔だネ!』
彼女のその言動は皮肉なのかそれとも純粋なだけなのか。
彼女は優しい、だから私を助けてくれた。
助けてくれた、彼女なりに
私は人間にずっと虐められてきた、牢屋に入れられ食うものはなく、汚物まみれのその牢屋で。
彼女は人間にずっと讃えられてきた、高貴な椅子に座らさせられ、高級品でギラギラしたものだらけのその宮殿で。
私達は真反対だ、なのに似ている。
さっき言った「悪魔は人間が嫌いで天使は人間が好き。」
その概念は間違えていると今ながらに思う。
「悪魔は人間が嫌いで天使は人間が好き」ではなく、
「人間は悪魔が嫌いで人間は天使が好き」なのだ。
そういうものなのだ
彼女は皮肉混じりに
「私は悪魔」なんて言ったのだろうか。
その後ちゃんと牢屋から出してくれた。
彼女はボロボロだった、どうしてか分からなかったけど
彼女は髪は乱れて白くて満月の光が差し込むその服には血がついていた。
でも気にしてなかった、なぜならどう考えても私の方がボロボロなのだから。
『どうして私を牢屋から出すの?』
『私のためだ!』
きっと優しいからそんな発言ができるだろう
優しいからこそ憎い。
彼女は地頭がいいのだろう、損得考えず人を助けることが出来る。
私の憧れだった。
『でも、私を出したって明日には見回りが来てしまう』
そう言うと彼女は
『私と一緒に逃げるのだ』
なんて言う。
私は知ってる
彼女が人間に憧れられいつも美味しいものを食べ暖かいところで寝ている。
何が不満なのか。ムカついた
ムカついたのに、何が不満なのか聞けなかった私は臆病者だろうか、今になって思った事がある
その彼女の「不満」や「逃げたくなるような事」がもし、私の「嫌もの」と同じであったら…
私は怖かったのだ、もしそうなら、あれだけ羨ましがって、彼女を「助ける」なんて考えもしなかったのだから、私は何も考えてない
あの人間達みたいに、見た目だけで判断している事に。
私は彼女は幸せだと思っていた
だって私の「理想」だったのだから
彼女からしての「理想」はどんなものだったのだろう。
私は、彼女が私の理想の暮らしをしているのにそれを嫌だと言って私のこの環境くらい、いやそれ以上その彼女からしてその環境は彼女を蝕んで蝕んで追い詰めるくらい苦しい環境だったら、そうだと考えようともせず「うやらましい」なんて思っていた自分はクソだから、そうだと気づくことが怖かったのだ。
彼女の理想と、私の理想が反対であることに気づくのが怖かった。
どうしてかそれがこの特別な友情に亀裂が入ると感じたんだ。