テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
処刑台の前。
村人たちが集まっていた。
重たい沈黙。
🧡「……」
向井は俯いたまま動けない。
目黒は静かに立っていた。
🖤「……」
縄が用意される。
💜「ほんとにいいの?」
深澤が笑う。
💜「抵抗しないんだ」
🖤「……」
目黒は何も言わない。
ただ、向井を一度だけ見た。
その視線に気づいた瞬間。
🧡「……っ」
向井の目から涙があふれる。
あの日から目黒は
人を喰っていない。
🧡「なんで……」
🖤「……」
目黒は静かに言う。
🖤「泣くな」
🧡「嫌だ……」
🧡「殺さないで…!!!」
村人たちは黙って見ている。
ラウールだけが、じっと目黒を見ていた。
🤍(……おかしい)
🤍(何かが)
そのとき。
縄が締められる。
鐘の音が鳴った。
――処刑。
村人たちは静かに散っていった。
💜「はぁ…」
深澤がつぶやく。
そして小さく笑った。
💜「人狼が一匹減っちゃった」
その言葉を
ラウールは聞き逃さなかった。
──────────────
目黒が処刑されたあとも――
村に平和は戻らなかった。
夜になるたび、
村人がひとり、またひとりと姿を消していく。
残された者たちは、
恐怖と疑念の中で過ごしていた。
広場には重たい空気が流れている。
その中で静かに口を開いたのは、ラウールだった。
🤍「人狼は、まだこの村にいる」
村人たちがざわめく。
ラウールは冷静な目で周囲を見渡した。
🤍「ここまでの襲撃の順番」
🤍「発言」
🤍「夜の行動」
🤍「全部、繋がった」
阿部が一歩前に出る。
💚「俺も守っていて気づいたことがある」
向井も拳を握る。
🧡「……俺も」
広場の空気が一瞬で張り詰めた。
ラウールはゆっくり指を向ける。
🤍「人狼は――」
🤍「岩本くん」
🤍「あなた…」
そして。
🤍「……深澤くん」
🤍「あなたも…」
一瞬、静寂が落ちた。
💜「……」
💜「……あーあ」
💜「つまんね」
村人たちが一斉にざわめく。
💛「……」
岩本は黙ったまま立っていた。
ラウールは静かに言う。
🤍「深澤くんは狂人」
🤍「ずっと人間のふりをして、議論をかき乱していた」
岩本がゆっくり顔を上げる。
その目は――
もう、人間のものではなかった。
💛「……ここまでか」
低い声が広場に響く。
村人たちが後ずさる。
💜「ねえ」
深澤は笑いながら言った。
💜「一旦逃げる?」
💛「ああ」
広場は完全に騒然となった。
ついに、
最後の人狼が追い詰められたのだった。
──────────────
夜ーー
村の外れの古い小屋。
二人は身を潜めていた。
深澤は壁にもたれながら笑った。
💜「俺達もここまでかー」
向かいに立つ岩本は、静かに外を見ている。
足音。
村人たちが近づいている。
💛「……」
💛「逃げようと思えば逃げられる」
深澤は肩をすくめる。
💜「でもさ」
💜「もう無理でしょ」
💜「村中にバレてるし」
💜「即撃たれて終わりだよ」
そして深澤が笑う。
💜「なあ」
💜「俺さ」
💜「結構いい仕事してたでしょ?」
💛「……ああ」
💛「見事だった」
💜「でしょ?」
外で声がする。
「この中だ!」
「囲め!」
深澤はため息をついた。
💜「もう終わりなのか」
💛「……」
岩本がゆっくり言う。
💛「お前には」
💛「色々世話になった」
💜「なにそれw」
💜「急にしんみりして」
💛「本当だ」
💛「お前がいなければ」
💛「ここまで村は混乱しなかった」
💜「……」
深澤は少しだけ黙る。
そして小さく笑った。
💜「狂人冥利に尽きるね」
外から扉を叩く音。
ドンッ!
「開けろ!」
「人狼!」
深澤は岩本の隣に並ぶ。
💜「なあ」
💜「最後にさ」
💜「一個だけ聞いていい?」
💛「……何だ」
💜「あんたにとって俺はなに?」
岩本は一瞬だけ目を細めた。
💛「お前は俺だけの最高の狂人」
💜「はは」
深澤は満足そうに笑う。
次の瞬間。
扉が破られた。
村人たちがなだれ込む。
武器を構える。
「人狼だ!」
「殺れ!!」
岩本は一歩前に出る。
深澤の前に立った。
💜「ちょっと」
💜「守ろうとしてる?」
💛「……」
💛「仲間だからな」
💜「……」
深澤は少し驚いて、
そして笑った。
💜「やば」
💜「ちょっと嬉しいかも」
村人たちが武器を振り上げる。
その瞬間──────
💜「じゃあさ」
💜「最後まで一緒にいよっか」
💛「……ああ」
二人は並んで立った。
次の瞬間――
夜の中に、武器の音が響いた。
その夜。
人狼と狂人は討たれた。
だが。
最後まで二人は、
隣に立っていたという。
村人たちは団結し、
最後の戦いに勝利した。
――全ての人狼は倒された。
村は救われた。
──────────────
それから数日。
村は少しずつ元の生活を取り戻していく。
でも
向井だけは違った。
🧡「……」
夜になると。
思い出してしまう。
あの処刑台。
目黒の最後の視線。
🧡「……目黒」
涙がこぼれる。
そのとき。
窓の外で風が揺れた。
🧡「……?」
影が動く。
🧡「……誰」
振り向いた瞬間。
後ろから腕が回された。
🧡「……っ!?」
抱きしめられる。
温かい腕。
聞き覚えのある声。
🖤「泣きすぎ」
🧡「……」
🧡「……え」
ゆっくり振り返る。
そこにいたのは――
🖤「…久しぶり」
目黒だった。
🧡「……」
🧡「え、なんで……」
🧡「夢?……」
涙が止まらない。
🧡「俺……」
🧡「幻覚見てるの?……」
🖤「ひどいな」
目黒は少し笑う。
🖤「ちゃんとここにいるだろ」
🧡「……」
向井は震えながら手を伸ばす。
目黒の頬に触れる。
温かい。
🧡「……目黒」
次の瞬間。
向井は目黒に抱きついていた。
🧡「会いたかったよ……」
目黒は優しく抱き返す。
しばらく、何も言わなかった。
そして。
ゆっくり顔を近づける。
向井の涙を指で拭う。
🖤「……頑張ったな」
🧡「……」
🖤「村守ったじゃん」
目黒は少しだけ寂しそうに笑う。
そして。
向井の唇に、そっとキスを落とした。
🧡「……っ」
🖤「お前は」
🖤「これからも」
🖤「一生懸命生きろ」
🧡「……」
🧡「目黒も一緒に……」
言いかけた瞬間。
風が強く吹いた。
🖤「……」
目黒の体が、少しずつ薄くなる。
🧡「……え」
🖤「もう行かなきゃ」
🖤「ごめんな」
🧡「嫌だ……」
🧡「行かないで…」
🖤「あ…言い忘れてた」
目黒は最後にもう一度、
向井の頭を優しく撫でた。
🖤「俺も向井が好きだったよ」
そして。
夜の闇に溶けるように、
姿が消えた。
部屋には静かな風だけが残る。
🧡「……」
向井は立ち尽くしたまま、
空を見上げる。
涙を流しながら、
小さくつぶやいた。
🧡「……ありがとう」
窓の外。
月がいつもより綺麗に光っていた。
つづく。