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どっかの誰かさん。
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ℝ𝕒𝕟
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あの日の記憶を思い出してから、数日が経った。
俺は、いつも通り風鈴にいた。
授業を受けて、誰かと話して、放課後になれば騒ぎに巻き込まれて。
何も変わっていない。
……そう思っていた。
桜「蘇枋、帰るぞ」
蘇枋「うん。今行くよ」
鞄を持って、教室を出る。
廊下を歩きながら、ふと窓の外を見る。
夕焼けだった。
空が赤く染まっている。
蘇枋「……」
一瞬だけ、あの日の光景が重なった。
炎。
煙。
そして、遠ざかっていく背中。
蘇枋「……」
俺は目を逸らした。
もう大丈夫。
そう思っていた。
でも。
完全に平気になったわけじゃない。
それくらいは、自分でも分かっている。
桜「蘇枋?」
蘇枋「ん?」
桜「どうした?」
蘇枋「いや、なんでもないよ」
いつものように笑う。
蘇枋「大丈夫」
口にしてから、少しだけ苦笑した。
また言ってしまった。
桜「……本当に?」
蘇枋「え?」
桜「いや、なんでもない」
そう言って、桜君は前を向いた。
俺も何も言わなかった。
そのときだった。
校舎の外から、大きな音が聞こえた。
蘇枋「……?」
続いて、誰かの声。
風鈴生「おい! あっちだ!」
風鈴生「行くぞ!」
僕たちは顔を見合わせる。
どうやら、校門の近くで揉め事が起きているらしい。
蘇枋「行こうか」
桜「おう」
外へ出る。
そこには、数人の男たちがいた。
男「風鈴かよ」
男「面倒なのが来たな」
相手がこちらに向かってくる。
俺は息を吐いた。
蘇枋「……仕方ないね」
一歩前へ出る。
戦っている間は、余計なことを考えなくて済む。
相手の動きを読む。
避ける。
受け流す。
距離を取る。
いつも通り。
そのはずだった。
桜「蘇枋!」
仲間の声がする。
振り返る。
その瞬間。
近くにあった建物から、煙が上がった。
蘇枋「……」
身体が止まる。
焦げた匂い。
煙。
赤い光。
蘇枋「……っ」
右目の奥が痛んだ。
まただ。
あの日と同じ。
『お父さん……!』
『お母さん……!』
『待って……!』
頭の中に、幼い頃の自分の声が響く。
蘇枋「……違う」
今は違う。
ここは、あの日の家じゃない。
分かっている。
分かっているのに。
身体が動かない。
桜「蘇枋!」
声が遠く聞こえる。
蘇枋「……大丈夫」
反射的に答える。
蘇枋「大丈夫だから」
一歩、踏み出そうとする。
けれど。
足が動かなかった。
蘇枋「……っ」
怖い。
その感情を認めた瞬間、胸が苦しくなる。
助けて。
その言葉が頭に浮かぶ。
でも、口から出てこない。
――どうせ来ない。
あの日と同じ。
そう思ってしまう。
桜「蘇枋!」
今度は、すぐ近くで声がした。
腕を掴まれる。
桜「こっち!」
強く引かれる。
俺は驚いて顔を上げた。
目の前に、仲間がいる。
蘇枋「……え」
桜「何ぼーっとしてんだよ!」
蘇枋「……」
桜「大丈夫か?」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥が、ぎゅっと締まった。
大丈夫。
いつものように、そう答えればいい。
そうすれば、この話は終わる。
でも。
今日は。
なぜか、その言葉が出てこなかった。
蘇枋「……俺」
声が震える。
蘇枋「……ちょっと、怖かった」
言えた。
たったそれだけなのに。
胸の奥に溜まっていたものが、少しだけ抜けていくような気がした。
桜君は少し驚いた顔をした。
でも、すぐに言った。
桜「そうか」
それだけだった。
責めない。
笑わない。
無理に聞こうともしない。
ただ、そこにいてくれる。
蘇枋「……ありがとう」
自然と、その言葉が出た。
桜「別に」
蘇枋「ふふ」
俺は小さく笑った。
蘇枋「そういうところ、優しいよね」
桜「うっせ」
蘇枋「はいはい」
少しだけ、いつもの調子に戻る。
でも。
心の中では、まだ思っていた。
あの日とは違う。
俺が声を出せば。
今は、ちゃんと誰かが振り返ってくれる。
蘇枋「……」
俺は空を見上げた。
夕焼けが広がっている。
昔なら、この色を見るだけで苦しくなった。
今だって、完全に平気なわけじゃない。
それでも。
今日は、少しだけ違って見えた。
俺は眼帯に触れる。
蘇枋「……大丈夫」
小さく呟く。
そして、すぐに言い直した。
蘇枋「……いや」
俺は少し笑った。
蘇枋「大丈夫じゃなくても、いいのかな」
隣にいる仲間を見る。
蘇枋「帰ろうか」
桜「おう」
僕たちは歩き出した。
今度は、一人じゃない。
それだけで。
少しだけ、足取りが軽かった。
ここまで読んでくださりありがとうございますm(*_ _)m
この話1回最後まで書いてみたら11話までになったので、もう少しで終わります!!
是非最終話まで見てくださると嬉しいです。
いいねコメントお願いします。
では안녕!!
コメント
2件
すっごくよかったです! (語彙力なくてすみません) 蘇枋さんの過去の話とかトラウマとか話の構成がよくて読んでて楽しかったです! 続き楽しみにしてます!
うわ、この回、すごくよかったです……。「大丈夫」って言い続けてきた蘇枋くんが、初めて「怖かった」ってこぼせた瞬間、胸がぎゅっとなりました。桜くんが「そうか」とだけ返して、無理に聞き出さないのも優しい。最後に「大丈夫じゃなくてもいいのか」って自分で気づくシーン、じんわりきましたね。二人の距離感、すごく丁寧に描かれてるなあ。続き、しっかり読ませてもらいます!