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brsm
両片思い
「久しぶり」
そういう彼
高校からの同級生で、その後それぞれの道へ別れた
でも今日は伝えたいことがあると言われ、
6年ぶりに顔を合わせた
「…元気にしてた?」
「うん」
「……そっか」
落ち着いた様子で、淡々と喋る彼
昔は元気だったなぁ
そんな彼が好きだったな、なんて思いながら話を聞く
「ごめんね?急に呼んじゃって」
「いや……別に…」
ずっと会いたかったから
大好きな彼に
でも
叶わない恋だと知っていたから
願っても、縋っても
ぶるーくが俺の事を好きになるなんてないから
だからせめて
ずっと一緒にいたかった
ずっと隣にいたかった
それだけで幸せだったから
色々なことを考えていると涙が出てきそうだったから
ぶるーくの要件を聞くことにした
「…で、どうしていきなり呼んだんだ?」
「あ…えっとね」
「僕、結婚するんだ」
口元を緩ませながらそういう彼
でも
どこか悲しそうな雰囲気も感じた
結婚か
そうだよな、ぶるーくはモテてたし
結婚してもおかしくない
「…おめでとう」
そう言うしか無かった
声が震えていないか心配だった
でも、俺に嫌なんて言う権利はないから
祝福するしかないから
「…ありがとね」
「相手はどんな人なの」
知りたい
ぶるーくが好きになって
生涯を共にしたいと思った人を
「ん〜?…んーとねぇ…」
「スマイルみたいな人かな」
何を言ってるのかわからなかった
俺みたいな人?
俺でいいじゃんなんて思ってしまう
そんな自分が嫌だ
「マイペースで、物静かで」
「本を読むことが好きで」
「でも全部が愛おしくてさ」
もうやめてくれ
それ以上言わないでくれ
涙が零れてしまうから
止まらなくなってしまうから
「…僕、スマイルの事好きだったんだぁ」
「高校の時からずっと」
だめだ
なくな
ないちゃだめだ
なんで気持ちを伝えれなかったのか
なんで気持ちを伝えてくれなかったのか
「……俺も、好きだったよ」
言わなければ彼を困らせることはなかったのに
言わないと保てなくなりそうだったから
俺は彼を困らせる方を選んだ
驚いた表情をしていた
無理もない、ずっと好きだった相手も自分のことが好きだったのだから
その後すぐに笑った
昔と同じ、無邪気で明るい笑顔
でもこんな顔は見た事なかった
笑っているけど
切なそうで、悲しそうで
そんな笑顔を作った
作って、笑って、泣きながら
「もう遅いよ、ばか」
そう言った
そのあと他愛もない話をして解散した
後悔はなかった
ぶるーくが幸せならそれでよかった
幸せになって欲しい
俺のせいで奪われた青春を取り戻してほしい
ごめんね、幸せになって
俺も幸せになるから
その時はもう
泣かせないようにするから