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熱帯夜~私と彼氏と浮気相手と~

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熱帯夜~私と彼氏と浮気相手と~

14 - 第14話 だれも気づかなかったのに

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2023年03月22日

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「だれも気づかなかったのに」


正午過ぎ。オフィス内がざわめき出し、私はパソコンデータをきりのいいところで保存した。

デスクチェアのイスにもたれ、はあっと息を吐き出すと、おとといの夜、 紀坂(きさか)と泊まったことが思い出される。

あの日の朝―――紀坂はホテル玄関のタクシー乗り場まで送ってくれた。

別れ際、彼に「また連絡する」と言われ、躊躇う気持ちもあったけど、突っぱねることは頭に浮かばなかった。

その後紀坂からの連絡はなく、 日比野(ひびの)からも入っていない。

あの朝家に帰り、まだ日比野がいたらどうしよう、と思ったけど、それは 杞憂(きゆう)で日比野はもう家を出た後だった。

上野で見かけてから連絡もないのが救いで、今朝化成品部から聞こえてきた話では、おとといから関西出張中らしい。

メッセージすらこないところを見れば、かなり忙しいのだろう。

(私も早*****************

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