テラーノベル
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タボちょん、捏造有り
羊が一匹、羊が二匹。
頭の中で白く真ん丸い羊が次々と現れては消えてゆく。
羊が三匹、羊が四匹。
もう何度この言葉を唱えただろう。百まで数えるのすら面倒くさくて、五十あたりからまた一に戻ってを延々と繰り返している。
通算すれば羊が三百くらいは行くのではないだろうか。
「はぁ……」
特別暑かったわけでも寒かったわけでもない。至って普通の吹き抜く風が爽やかな日。
ちょんまげは眠れずにいた。
枕は重みで沈み、散々寝返りを打ったのだろう、布団はあちらこちらに皺がよりグチャグチャだ。
ハーフパンツから伸びた足を無防備に晒し、また寝返りを打つ。
「ターボー起きてるかな…」
カチ、コチ、
秒針が時を刻む音が夜の闇に響く。時計は日を跨ぎ、午前一時を告げていた。
ちょんまげの視線の先にはスマートフォン。
もう既に眠りについているだろう時間だ。こんな時間に連絡をするのは気が引ける。
「……………」
羊が一匹、羊が二匹
目をギュッと閉じて必死に羊を数える。
もこもこした羊が頭の中を跳ねては消え跳ねては消え。
羊が三匹、羊が四匹
眠気よ襲え。大いに襲え。
そう念じるけれど、念じれば念じる程そちらへ意識がいって眠気が来ない。
「もう………」
再び目を開ける。
頭の中を元気に跳んでいた羊が弾けて消えた。
カチコチカチコチ
いつもは気にしない時計の音さえ今日は耳障り。闇に染まった天井はちょんまげの瞳を更に黒く染める。
「ごめんなさい、ターボー」
瞬間、何かを決心したのかガバリと勢いよく起き上がったちょんまげ。
充電中のスマートフォンを手に取り、指を動かしていく。 青白い光がちょんまげをぼんやりと照らし、その眩しさに目を細めた。
開いていたのは予想がつくだろう、トークアプリである。時計の音とは別にスマートフォンを指で叩く音が暗い部屋に響いた。
「送信…と」
ゆっくりと送信ボタンを押して、再び布団に潜り込む。
この時間は寝ているであろうターボーがメッセージを返してくれる保障はないけれど、受信音が鳴るのを信じてじっとスマホを見つめていた。
カチコチカチコチ
秒針が時を刻む。
返信はまだ来ない。
カチコチカチコチ
まだ来ない、まだ来ない。
やはり寝ているのだろうか。いや、それならまだ良い。もしかしたら寝ているところを起こしてしまい、迷惑がられているのではないだろうか。
夜とは些細な事さえも大きな不安として己を包む。スマホを握る手にはじんわりと汗が滲み、瞳はスマホ一点を見つめ固まっていた。
コメント
1件
あたしちょんまげの無防備姿だぁぁいすき!だってエ口イんだもん!