テラーノベル
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俺は静かに過ごしていた。
平和に。このままいい人生を終える、そう思って生活をしていた。
俺は今ごく普通にこの街で暮らしている。
そしてこの街には古くから言い伝えがあった。
ーすぐ隣にヴァンパイア達の領域がある、だから決して近付くなー
そう伝えられ続け、この街のもの達はここから出ようとはしなかった。
俺はそんな迷信信じられなかったが幼少期からそう教えられてきた為きちんと守っていた。
そんなある雨の日だった。
「わー……めっちゃ雨……。 」
俺は会社から出てすぐ絶望した。
天気予報を見ていなかった俺は傘を持っていない。
止む気配も全くない。
一応スマホで調べたがこの後はずっと雨予報だ。
「あぁ……行くっきゃない…!」
俺は諦めてダッシュっで家に帰ろうとした。
「つめたぁぁあ!」
ダッシュしながら独り言を言う。
髪もスーツもびちゃびちゃだ。
クリーニングに出さなきゃ、そんなことを思いながらなんとか屋根のある路地裏に着いた。
「あぁ……冷たい……風邪ひく……。」
俺は少し寒くなってきた。
早く帰ってお風呂に浸かろうと再び走り出そうとする。
すると微かに薄暗い路地裏から光が見えた。赤く光る何かが。
「猫……?」
俺は猫の目かと思って奥へ進んで行ってしまった。
そっと覗いて見てみるとそこには首筋を噛んで血を吸っている吸血鬼がいたのだ。
「……っ!」
俺は焦った。本当にいたのか。
しかし俺は男だ。
この言い伝えは主に女性が当てはまる。
綺麗な女性が狙われる。そうも言われていた。
俺は静かにバレないようにそっと下がった。
しかし運悪く、顔を上げた吸血鬼と目が合ってしまった。
「ひっ……。」
俺は恐怖で少し悲鳴をあげてしまう。
やばい、逃げなきゃ、本能でそう感じてダッシュで逃げた。
無我夢中で雨の中冷たさも忘れて走る。
途中振り返りながら追ってきていないことを確認して家まで走った。
「はー……はー……。ほんとに……いたのか……。」
俺は息を整えながら扉の鍵を開けて部屋へ入る。
忘れよう、そう思ってそのまま過ごすことにした。
その後はすっかり吸血鬼の事を忘れて日々を過ごしていた。
今日は休日、俺は買い出しをしている。
「何作ろ……。」
毎日の弁当や夕飯を考えてスーパーを回っていた。
そう考え事をしていたらちょうど曲がり角で人とぶつかってしまった。
「わっ、ごめんなさいっ!」
俺は驚いて相手を見る。
「あぁ、こちらこそ、すみません。お怪我はないですか?」
と深くキャップを被り、全身黒のコーデの小柄な男性が俺の方を見た。
「あ、はい。大丈夫です。すみません。」
俺はそう言ってそのまま買い物に戻る。
「みっけ……。」
彼が後ろでそう小さく呟いたことを俺はその時知る由もなかった。
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涼ちゃんが会ったヴァンパイア!?