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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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その日。
スペクターは珍しく外出する予定だった。
出発前。
執務室の前。
「ノスフェラトゥ」
「はい」
即答。
「留守番を頼むよ」
「承知した」
優秀。
実に優秀。
スペクターは少し考えてから付け加える。
「私の部屋にいていいから」
「……!」
ノスフェラトゥの耳がぴくりと動く。
アズール。
嫌な予感。
ホスフォラス。
もっと嫌な予感。
数時間後。
スペクター不在。
館は静かだった。
そして。
スペクターの私室。
薔薇の香り。
整えられたベッド。
赤いカーテン。
静かな空間。
本来なら。
ノスフェラトゥは落ち着かないはずだった。
主がいない。
部屋だけある。
普通なら寂しい。
普通なら。
しかし。
ノスフェラトゥ。
大満足。
ベッドの上。
クッションを抱えている。
ぎゅう。
「……」
「…………」
幸せそう。
アズールが様子を見に来た。
扉を開ける。
「生きてる?」
返事なし。
ベッドを見る。
ノスフェラトゥ。
いた。
クッション抱えてる。
顔を埋めてる。
そして。
小さく呟いた。
「吸う温泉……」
アズール。
扉を閉めた。
見なかったことにしよう。
しかし。
ホスフォラスへ報告。
「だめだった」
「何が?」
「完全にだめだった」
二人で見に行く。
そっと扉を開く。
ノスフェラトゥ。
まだいた。
微動だにしない。
クッション抱えてる。
「何してんの?」
「留守番」
「そうじゃなくて」
「留守番」
「そうじゃなくて」
「吸う温泉」
ホスフォラス崩壊。
「何それ!!」
「落ち着く」
「そうだろうね!!」
数時間後。
さらに悪化。
ノスフェラトゥ。
ベッドの中央へ移動。
丸くなる。
猫。
完全に猫。
クッション抱える。
そのまま寝る。
耳だけぴこぴこ動いている。
アズール。
「終わったな」
ホスフォラス。
「終わったね」
夕方。
スペクター帰宅。
「ただいま」
返事なし。
部屋へ向かう。
扉を開ける。
静か。
そして。
ベッドを見る。
ノスフェラトゥ。
丸くなっている。
綺麗に。
本当に綺麗に。
クッション抱えて。
すやすや。
スペクター。
停止。
「……」
「…………」
しばらく考える。
そして。
笑った。
「何してるの」
ノスフェラトゥ。
目を開ける。
主発見。
耳ぴーん。
「お帰りなさい」
「ただいま」
「留守番した」
「そうみたいだね」
スペクターはベッドへ腰掛ける。
ノスフェラトゥ。
少し考える。
そして。
当然のように。
もう少し近付いて丸くなる。
アズール(廊下)。
「見た?」
ホスフォラス。
「見た」
「猫じゃん」
「猫だね」
その日以降。
館では密かに、
ノスフェラトゥのことを
『主様の部屋でくつろぐ猫』
と呼ぶ者が現れたという。