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《数時間前》


「サカムサ!?カロ!」


アオイ達と別れ、一人泉に残ったトカゲの獣人はサカムサが戻ってくると信じて待っていたら何事もなかったかのように出てきたのだ。


「どこ行ってたカロ!」


そう言うとサカムサは背中に乗れとジェスチャーする。


「乗れって言ってるカロ?」


元々ウーリーシャークは頭が良く、群れで行動する習性があるので何とか32番と意思疏通を取るためにサカムサが覚えたジェスチャーだ。


「ふむ?」


32番がサカムサの背ビレに掴まると潜水を開始し、地面にぽっかり空いた穴の中へ入っていった。


「(暗くて何も見えないカロ)」


元々海賊で、食料調達で海に潜ったり海賊同士で争っている時、海を泳いで相手の船に潜入するなどしていたので息は充分もつがここまで暗くて何も見えないとサカムサに頼るしかない。



そして、サカムサは浮上した。



「な、なんだここは……カロ」



海底洞窟を出た先は明らかに人の手が入っている幻想的な鍾乳洞だった。



「扉があるカロ」


先にあるのは何年も前からあるであろう古い扉。


恐る恐る開けると、真っ直ぐに永遠に続きそうな石灰岩で出来た階段だった。


「元海賊の血が騒ぐカロ」


長い階段に足を踏み入れると両端の松明が燃え始める。

そしてある程度距離が開くと松明は勝手に消えていく.…


「この方向で察すると山の中央部に向かってる可能性があるカロね」


そして長い階段が終わりを迎え、もう一度同じ扉があり、それを開けるとそこは____



「っ!?」


その光景に目を疑った。


とてつもなく大きなドーム状の部屋の様な場所。

壁には美しい宝石の数々がびっしりと夜空の星の様に輝きを放ち、部屋の中心にはクリスタルで彩られた神殿が神秘的に輝いていた。


「宝石だカロ!?」


壁や天井にあるダイヤモンドやルビーエメラルドの宝石の数々に元海賊の血が騒ぐ。


「こ、これだけあれば億万長者カロー!!!」


誰かが横取りするわけでもないのに急いで壁に走って行き宝石に触れようとすると__


「残念ながらそれには触れない方がいい」


「カロ!?」


先程までまったく気配もなかったのに声がして振り返ると真っ白の全身ローブを着た男が立っていた。

顔はフードを深く被っていて口元しか分からない。


「誰だカロ!」


警戒し、一応護身用に作っておいた石を尖らせたナイフを取り出し構える。


「ごめんごめん、驚かせるつもりじゃなかったけど、たまたま!ね?たまたま!ここに来たんだよ?【神の導き】でね?」


「【神】カロ?」


「信じる?信じなくてもいいけどね、俺もここ最近になるまで信じてなかったし」


「何を言ってるカロ!」


「うーん、話を続けたいんだけどなぁ」


「お前の様な怪しい奴から聞く話なんて無いカロ!!」


「はぁ……なるべくこの力は使いたくなかったけど仕方ない」


「っ!!」


何かするつもりと察して32番は男に向かって走り出したがその男は一言。


「__【カロルは落ち着き、話を聞くことにした】」


その瞬間、殺意や警戒心などが解除され、その場で止まって石のナイフをしまう。


「…………何をしたかは解らないカロが、話くらいは聞いてやるカロ」


「うん、話だけでいいよ、俺も色々あるから手短に話すさ」


白いローブ男は指を立てて説明する。


「一つ、その宝石は《クバル村》の物だ、《クバル村》の中でも【選ばれた人間】以外が持ち去ると呪いがかかるようになってる」


「呪い?」


「うん、詳しくは解らないけど、たぶん死ぬんじゃない?」


軽くふざけた口調で言ってるが、なぜか彼の言葉には信憑性があった。


「…………」


「そうガッカリしないでくれ、だからほら、これだけあげるよ」


そういって男は手の拳大ほどある大きな宝石を壁から取って32番に投げた。


「カ、カロ!?これ持っていったら呪われるって言ったばかりカロよ!?」


「【選ばれた人間】ならいいとも言ったでしょ?だから俺は大丈夫、つまりこの宝石は一度俺の物になって、俺が君にあげたって事さ、これが欲しいんだろ?君の頭にちらついて話にならなかったら困るしあげるよ」


「????」


「まぁ気にしないでいいさ、ほら、神殿の中、見たいでしょ?ついてきて」


そう言って白いローブ男は神殿へ足を進め始めたのでついて行く。


「ちなみにこれも聞き流してても良いんだけど、君がその宝石に触れてる間は『女神』の干渉を防ぐ事が出来る、肌身離さず持っとくんだよ」


「女神?ハッハッハッ、海賊のシンボルみたいなもんカロ」


「そうなの?」


「そりゃそうカロ、悪事を働くなら女神に祈れば成功するってのは海賊では常識カロ」


「へぇ、そりゃ初耳だ」


そう言いながら男は閉じされたクリスタル神殿の大きなドアを魔法で開く。


「……」


「……これは何カロ」


神殿の中には一際綺麗な巨大なクリスタルが浮いていた。

その下には魔法陣が紫に禍々しく光っている。


「これはクリスタルドラゴンの核」


「クリスタルドラゴン!?!?実在したカロ!?」


クリスタルドラゴン。

誰もが一度は聞く御伽話の中の空想上の魔物だ……少なくともそう思っていた。


「あの話は実話だよ……もっとも御伽話では【勇者】が倒したことになってるけど本当はこんな感じで封じられてたんだ」


「なんでお前はそんな事を知ってるカロ!」


「いや〜実は俺も最近知ったんだよね、うんうん、新鮮な反応だ」


「質問の答えになってないカロ!」


「あーめんどくせぇ……」


ここに来てローブ男の雰囲気が変わった。

威圧的では無く、心底からのめんどくさいと言った感じだ。


「要件言うとコイツ、今から動き出すから」


「へ?」


「んで、そのときにここに落ちてくる【神の子】を持って君の通ってきた道で安全な所に置いといてくれないかな?」


「な、ななな、へ?え?」


「お、“合図”が出たみたいだよ」


そう言いながら天井を指差す。


「この感覚……ま、まさか!」


「うん、君はかかった事があるね?……生きているもの全てが待っている感情を踏み躙る女神専用の最大で最狂の魔法__『魅了』」


2人の前にあるクリスタルが脈打ちだす。


「み、魅了って普通の魔法カロよ!」


「あぁ、あんなのは女神の魅了を見て模倣したに過ぎないよ……それにもう時間もないみたい」


クリスタルに赤い目が作成されギョロリと2人を睨む。


「カ、カロ!?」


「じゃ、あとは頼んだよ」


そういうと男の横から魔法陣が展開され消えて行った。


「て、転移魔法!?」


そのままクリスタルがみるみるうちに大きくなっていき天井にぶつかると神殿が崩れ始める。


「に、にげるカロ!」


クリスタルは形を作りながら大きくなり最後には洞窟の天井を突き抜け__





崩れゆく天井から【勇者ヒロユキ】が32番の前に落ちてきた。



異世界転生したら女になった!?

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