※この小説は戦争の話が関係しています。
みこは戦争が嫌いだ。いや、みんな嫌いなはずだ。
みこはこの戦争で大事な人を失ってしまった、、、
♢♢♢
「……行っちゃうの?」
「…国からの命令だからね、、、」
「そうだよね、ごめん…」
すいちゃんが一番行きたくないはずなのにみこは何を言っているんだ。
わがままどころではないことを言ってしまった。つい発してしまったので申し訳ない。
それが顔に出ていたのか、すいちゃんが声をかけた。
「大丈夫だよ?すいちゃんは絶対にみこちのもとへ帰ってくるから!!」
「……うん!」
「ほら、おいで?」
すいちゃんは腕を広げてみこを待っている。
みこはすいちゃんの胸に飛び込んだ。そして歓迎するように優しくハグをしてくれたんだ…
「じゃあ行ってくるね、」
「うん、、、」
「悲しい顔しないで?ほら」チュッ
「ん、待ってるから」
「うん、じゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい、」
「うん!”またね”」
「っ…!」
またねと言ってくれた。絶対に会える、そう願っている。
みこはすいちゃんとのツーショットの写真を大事にポケットにしまった。
あなたの背中がたくましく見えた…
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ドォォォォォォォォォォォンッ!!!
ずっと外から音がする。人の足音、人の叫び声、人が助けを求める声、そして爆弾が落とされる音…
『おいそこのお前!!』
「………」
誰かの声がする
『ピンク髪のお嬢ちゃん!』
『嬢ちゃん!!ここにいたら危ないぞッ!!』
「え、?あぁ、すみません…」
『怒ってるわけではないが、私は人がいないか確認してたんだ!」
「はぁ、、、?」
『そこにいる人たちと一緒に避難しなさい!』
「わ、わかりました…」
みこは前の人たちについて行った。
すると避難所が見えたんだ。中に入ると200人以上の人たちがいた。
赤ちゃんが泣き叫ぶ声、子供たちの不安な顔、大人たちがいらだっている顔、たくさん苦労している顔が見える。
「おいじゃまだッ!」
「いたッ…!!」
扉の前でずっと立っていたから邪魔になってしまった。申し訳ない…
あ、非常食取りに行かなきゃ…
「すみません、」
「はい」
「非常食ってありますか?」
「ありますよ、何人ですか?」
「一人です、」
「わかりました、こちらになります。これ以上渡すことは難しいと思うので大切に食べてください」
やはり人数が多いため食事は大切にとらなければいけない。
非常食をゲットしただけですごいと思っている。
中を開けると2日ギリギリ生活できるものが入っていた。中に入っている寝袋をひく。
「…………」
食欲が湧かない。すいちゃんが心配、外がどうなっているか心配、家族のことも心配でたまらないんだ、、、
「も、もう…やだ、、、」
誰にも聞こえない、掠れた声でそう言いみこは眠りについた、、、
バァァァァンッ!!
そう大きい音がした。正体は銃声だった。
「に、逃げろぉぉぉッ!!」
みんな一斉に走っている。途中で転んだ子供が人々の足で踏まれている。
親なのだろうか。足を止めてその子の上に抱きついて守っている。それでも周りは逃げるのに必死だ。
みこはあんなに悲しい涙を見たのは初めてだった…
気がつくとみこも足を動かしていた。だんだんとその親子が遠のいていく。
必死に、必死に、走り続けた。1秒、5秒、1分、30分と時間は待ってくれない。
時間が進むたびに街も人の心も荒廃していく…
「はぁッ、はぁ…!」
できる限り遠くに逃げた。ここはもう静か、いや、誰もいないからか…
「……グスッ」
一人ぼっちで泣く。さっきまで人の声や銃声でいっぱいだったのに、久々に自分の声が聞けたような感じ。
変わらず掠れているなぁw
「はあ…」
もうここの場所がわからない。喉が渇いてきたし、お腹も空いた。
「あの時ちゃんとしていれば…ボソッ」
みこはずっと不安を口に出し続けた。そう喋っていくうちに意識がもうろうとしてきた…
「はは、みこもう死ぬのかな。すいちゃんはどうだろう、約束守れなくてごめんね…」
みこは意識を手放した。
♢♢♢
ドクドクと心臓が動いてる音がする。目を少しずつ開けると白い天井が見えた。
あれ?みこ死んだんじゃ…
「さくらさん」
「……!ア、う!」
声が出せない。喉の奥に何か詰まっている感じがする。
「大丈夫ですよ。あまり無理せずに。」
「………」
周りを見渡すとここは病院だった。体を見るとみこには点滴が打たれていた。
よくあの状態で助かったな自分…そう思ったがすぐに他のことで塗りつぶされた。
「す、すい…!」
「え?あぁ、、星街すいせいさんのことですよね、?」
みこは無言でうなずく。
「残念ですが、もうお亡くなりになられたかと…」
「……は?」
ずっと喉の奥で詰まっていたものが出たような感覚だった。
「い、いや。あくまでもの話ですので…」
「なんでそう思ったんですか?」
「……さくらさんの住んでる場所って◯◯ですよね?」
「まあ、はい…」
「あそこの人たちは◯◯って場所に行ったんですよ。」
「は、はぁ、、、」
「あそこの場所には核爆弾が落とされましてね、、、」
「ッ……!!」
みこはまた意識が飛びそうになった。
あのすいちゃんが?
大好きな人が死んだ?
やだやだやだッ!!
みこは少し暴れてしまった。
「さ、さくらさん落ち着いてください!!」
「やだッ!すいちゃんは生きてるもん!!」
「最初は苦しいと思いますが、現実を受け止めてくださいッ!!」
「う、うわぁぁん!!あ゛あ゛ぁ!!」
病院の中、先生の前で大声で泣いた。
外を見ると朝日がのぼってくる、みこの涙は下がっていくばかりなのに…
もういやだ、死ねないんだったらすいちゃんのことは絶対に忘れない…
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知ってる?人って最初に匂いを忘れるんだって
「(あれ?すいちゃんの匂いってなんだっけ、、、)」
次は感触を忘れるんだって
「(すいちゃんにハグされた時の感覚忘れちゃったな…)」
次は声…
「(すいちゃんってどんな声だ?)」
次は名前…
「(思い出せない、この写真に写っている青髪で大好きだ人がッ、、、)」
そして最後は…
顔を忘れるんだってさ…
「(……この写真に写ってるのはみこと、、、、)」
「……誰?」
青髪の子だ…可愛いなぁ、一体誰なんだろう?
なんでみこと一緒に写ってるんだろう。記憶がないだけか?でも最近っぽいな…
“本当に誰なんだろう?”
「まあいいか、誰かわからないし”捨てちゃおう”」
最後にその子の顔を見て、そっとゴミ箱に入れた。
そのこと写っているみこはなぜかわからないが、”世界で一番輝いているような笑顔”だった…
♢♢♢
「み、みこ…”大好きだよ、また天国で会おうね…”」
と、星街すいせいは言い残しこの世をさっていった。
彼女の顔は苦しい顔と笑顔でぐちゃぐちゃになり、死体としても発見されずにいた…
コメント
5件
めっちゃ泣ける… これからも頑張ってください!
朝っぱらから泣いた.... 予想できなかった結末だわ...
バッドエンドだぁぁ...やっぱ戦争良くない() みこちがすいちゃんの事忘れちゃうの悲しい...()