💙『今日行く』
素っ気ないメッセージに、翔太なりの渾身のデレを感じて、スマホを見た俺の頬が思わず緩んだ。
唐突に送られてきたメッセージ。
約束も何も大抵は俺の方から取り付けるのに、向こうからはと本当に珍しい。
帰ったらどう可愛がってやろうかとワクワクしていたが、撮影が思いの外押してしまった。
予定より2時間以上も押して、家に着く頃にはすっかり真夜中を大幅に過ぎていた。
💛「ただいま〜」
奥に向かって、声をかけてみるが、電気は真っ暗。
もしやもう帰ったか?と焦るが、玄関の隅に愛用のサンダルがきちんと揃えて脱がれているのを見つけて、俺は安堵した。
💛「おーい、しょう…」
呼び掛けて、ソファに横になったまま寝落ちしたらしい翔太の寝顔が目に飛び込んできて、口を慌てて噤む。
……寝てる。
こういう場面に出くわすのはままあることで、眠る翔太を見つけた俺の対処の仕方は様々。無防備な寝顔に我慢できずに襲ったことは何度かあるし、ブランケットを掛けてやり、起きるまで待っていることもある。
ふと時計を見ると、午前1時半。
起こして帰すには、遅過ぎる時間だ。
待たせ過ぎたこともあり、起こしてもやんややんやと文句を言われたり、拗ねられたりするのがオチ。 いや、俺が悪いんだけど。 万一このまま襲って抱こうとでもしようものなら、キレて喧嘩になることも簡単に想像できてしまう。
とかく扱いが難しいうちの彼女。
💛「どうしようかな…」
とりあえず寝たら滅多に起きないはずなので、指先で目についた涎を拭いてやり、柔らかい髪を撫でた。
💛「大分伸びたね」
ここのところ、珍しく美容院に行けてないと言っていた翔太。横髪がだいぶ伸びて、耳に掛かる。その柔らかい唇にそっと触れるだけのキスをした。
💛「よし」
首の後ろと、腰のあたりに腕を差し込み、軽々と持ち上げて寝室へ運ぶ。
起こさないように、慎重に。
💙「ん………」
一度、胸に顔を擦り寄せてきたので、起こしたかと焦ったが、その後も寝息は続いていた。
できるだけ優しくベッドに横たえ、掛け物をこれまたそうっと掛けてやると、俺はシャワーを浴びにバスルームへと向かった。
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