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第34.5話「静寂のひととき」
🚀 シーン1:戦いの終焉と帰還
夜の帳が降りた碧族の隠れ里。
戦闘を終えたゼインたちは、ようやく静けさに包まれた街へ戻ってきた。
ゼインは黒いジャケットの裾を翻しながら、大きく息を吐く。
瓦礫の隙間から吹き込む冷たい風が、火照った肌を冷やした。
「……やっと、一息つけるな」
ナヴィスが、青い瞳を夜空に向けながら、軽く肩をすくめる。
「お前がそう言うなんてな。戦闘狂になりかけてるんじゃねぇの?」
ゼインは苦笑いを浮かべる。
「バカ言え……ただ、今は戦う気分じゃねぇだけだ」
「それが戦闘狂の兆候なんだよ、ゼイン」
ナヴィスがふっと笑うが、その声にはどこか心配の色が滲んでいた。
🚀 シーン2:碧族の街を歩く
ゼインたちは、隠れ里の市街地を歩いた。
碧族の街は、フラクタル技術を駆使した未来的な建築が立ち並び、空には淡く光る碧素のラインが流れている。
まるで、生きた都市のような雰囲気だった。
「こうやって見てると、碧族の街も結構いいもんだな」
ゼインは感心しながら、周囲を見渡した。
店先では、フラクタルによって浮遊する小型のランプが並び、道端には自動で動く清掃ドローンが静かに街を巡っている。
「ここでは戦いなんて、遠い話みたいだな……」
「そう思うか? でもよ、戦う奴らがいるから、こういう場所が守られてるんだぜ」
ナヴィスの言葉に、ゼインは無言で頷いた。
🚀 シーン3:碧族の武器職人との出会い
ゼインはふと、路地裏の奥で火花が散るのを見た。
「……なんだ?」
興味を引かれ、ゼインはナヴィスと共に歩み寄る。
そこには、無骨なエプロンをまとい、鋼の槌を振るう男がいた。
「へぇ……フラクタル武器って、こうやって作るのか?」
ゼインが呟くと、武器職人の男は低い声で笑った。
「お前も興味があるのか? だが、お前の目には“使う側”の光しか宿っていねぇな」
ゼインは少し驚いた。
「どういう意味だ?」
職人は、鍛え上げられた腕で碧素の刃を持ち上げながら言う。
「武器はな、ただの道具じゃねぇ。使う者の生き方が刻まれるもんだ」
ゼインは、戦いの中でしかフラクタルを考えてこなかった自分に気づく。
(……俺は、本当にこのままでいいのか?)
職人は碧素の刃をゼインに手渡す。
「これは“生きるための武器”だ。お前が選ぶ道次第で、使い方は変わる」
ゼインは無言で刃を握る。
その感触は、まるで自分の命の延長線にあるかのようだった。
🚀 シーン4:束の間の安息
その後、ゼインたちは碧族直営の食堂へ向かった。
「お前、何頼む?」
ナヴィスがタブレットを操作しながら言う。
ゼインはメニューを眺めた。
《ライフステーキ - 1日分の寿命消費》
《エターナルスープ - 碧素エネルギー回復》
《リジェネドリンク - 戦闘後の回復用》
「……とりあえず、腹が膨れるやつ」
「じゃあ、《ライフステーキ》だな」
ナヴィスが笑いながら注文する。
数分後、料理が運ばれてきた。
目の前に置かれたのは、不思議な輝きを持つステーキ。
ゼインはナイフを入れる。
——内部から青白い光がゆらめく。
「……これ、本当に食えるのか?」
ナヴィスは笑いながらフォークを突き立てる。
「お前、もう碧族なんだし、平気だろ」
ゼインは少し警戒しながら、ひと口かじる。
——その瞬間、口の中に広がる強烈な旨味!
「……うまい」
「だろ?」
ナヴィスは満足げに頷いた。
束の間の休息。
だが、この平穏も長くは続かない。
ゼインの中には、未だ拭えぬ“戦いの感覚”が残っていた——。