特別部隊は地下へ向かうことになった。呪力を含んだ雨は地下へと流れ込み、中心地へと誘うように強まっていた。
「地下の結界が弱まり始めている。王が完全に復活すれば、結界は崩壊し、呪霊が溢れ出すだろう」朱音が緊張した声で言う。
「まさに最悪のシナリオだな。だが、俺たちが止めるしかない」透は呪具「紫狼」を握り締め、決意を新たにした。
深い地下に入ると、呪霊の数が増えていることに気づく。呪詛の王の影響力は確実に強まっていた。
「奴はここにいる。この異常な呪力…間違いない」百鬼が冷静に言う。
だが、進むにつれ、異常さがさらに露わになった。地下の通路には、呪術師の亡骸が散乱しており、呪霊が彼らの怨念を吸収して暴れまわっていた。
「ここまでとは…」神楽坂が呆然と呟いた。
特別部隊は、遂に地下の最深部に辿り着いた。そこには古代の呪術陣が描かれ、中心には封印されていた呪詛の王の棺が鎮座していた。しかし、封印はすでに崩れかけており、黒い呪力が漏れ出していた。
「来たな…呪詛の王が目覚めようとしている」夏目が静かに言った。
棺から漏れ出す黒い霧は、生き物のようにうごめき、彼らに襲いかかろうとする。透は紫狼を振りかざし、霧を切り裂こうとするが、その呪力は圧倒的だった。
「くっ…このままでは!」透が叫んだ。
その瞬間、朱音が結界を展開し、黒い霧を一時的に封じ込めた。「今しかない!みんな、全力でかかれ!」
全員が呪具を構え、棺の封印を修復しようと必死で戦う。しかし、呪詛の王は強大で、時間はもう残されていなかった。
「9月…余の復活に相応しい月だ」棺の中から不気味な声が響いた。
透たちは、声に凍りつきながらも、戦い続ける決意を固めた。この戦いが、彼らの運命を決める瞬間になることを感じながら。
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