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真司の部屋に入った瞬間、背後のドアが乱暴に閉められた。
照明も点けないまま、暗がりの中で彼に抱きすくめられる。
「……真司、痛いって」
「あいつのメッセージ、見て揺れただろ」
彼の声は、これまでに聞いたことがないほど低く、震えていた。
いつも冷静で、仕事では完璧な彼が、たった一本の着信でここまで乱れている。
その事実に、私の胸は激しく波打った。
「揺れたんじゃない……ただ、悔しくて。あんなに惨めな思いをさせられたのに、勝手なこと言われて…」
言い訳をする私の唇を、真司の指が塞ぐ。
そのまま彼は、私をリビングのソファへと押し倒した。
「だったら、俺で埋めろよ。あいつのこと、一瞬でも思い出せないくらいに」
眼鏡を外した真司の瞳が、至近距離で私を射抜く。
月明かりに照らされた彼の表情は、同期の「真司」ではなく、一人の「男」そのものだった。
彼の手が、ハイネックのブラウスのボタンを一つずつ外していく。
露わになった肌に、冷たい夜風と、それ以上に熱い彼の吐息が触れる。
「真司……待って、まだ…」
「待たない。お前が俺のことだけを考えるまで、何度でも上書きしてやる」
彼の唇が首筋に、鎖骨に、そしてあの日つけた痕をなぞるように降りてくる。
元カレとの3年間なんて
この数日間の真司の熱量に比べたら、まるで色のない思い出のようだった。
「……あき、俺を見ろ」
名前を呼ばれ、弾かれたように目を開ける。
そこには、独占欲と
そして隠しきれないほどの深い愛着が混ざり合った、切ない表情の真司がいた。
「俺、ずっとお前が好きだったんだからな…あいつと付き合ってる間も、ずっと横で笑ってるお前を奪いたかった」
衝撃的な告白に、思考が真っ白になる。
「ずっと…って、私は…ただのライバルとしか……っ」
「そうかよ。それでもいい、男だって意識させるために、あんなことしたし、今もこうしてるんだからな」
「……っ、」
「だから、もう逃がさない」
彼に深く抱きしめられ、肌が重なり合う。
シーツの摩擦と、混じり合う吐息。
今夜の真司は、優しさなんてかなぐり捨てたように激しく、私を自分の色で染め上げていく。
窓の外では、東京の夜景が静かに光っていた。
けれど、今の私には、重なる彼の体温と
耳元で囁かれる情熱的な言葉以外、何も必要なかった。
明日になれば、また「同期」の顔をしなきゃいけない。
でも、私の身体の奥には、彼が刻んだ消えない熱が、確かに残っていた。