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「忠告って?」
俺はいつの間にかベンチから立ち上がり、目の前のデズモンド・タイニーとかいうおっさんと向かい合っていた。
「トラ、お前の正体はわかっている。この世界の外から来たのだろう。お前の運命だけは分からなかった。だが、この世界の辿る未来が改竄(かいざん)された訳でもない。不思議な存在だ。お前の行動によってのみ、この世界に影響を与えるとはな。」
「デスだったか。あんた、神様みたいな存在だろう?俺もあんたの正体分かってるんだぜ。」
「ほう、そこまで分かっているなら話が早い。忠告とは、非常に簡単だ。私の邪魔をしない事。それだけだ。」
「邪魔?あんた神様のくせに企てが好きなのかよ。」
「私は神ではない。未来を見通し、時間を遡る事が出来たりするだけ。そして、この世界の理を知っているだけだ。」
「この世界の理?」
「お前如きに説明したところで理解などできん。ただ…そうだな。お前の出方次第では、私の手下にしてやろう。そうすれば、私の計画を教えてやってもいい。」
羅堂の言う『神様みたいな存在』みたいだが、どう見てもどう聞いても悪党だろ、こいつ。
「あんたの手下にはならねぇが、計画の邪魔はしねぇよ。これでいいんだろ?」
「…。ああ、そうだ。随分と物分かりがいいな。お前のような青臭い人間は分不相応に噛み付いてくると思ったが。まぁいい。」
「もう要件は済んだのかよ。」
「あぁ、君への要件は済んだ。どうやら脅威というよりも娯楽と言ったところだな。」
どういう事だ?
「君達は存分に楽しむがいい。私が魅せるショーをな。私も楽しませてもらう。では、また会おう。」
タイニーはそう言って暗闇の中へ3人の小人と共に消えていった。
さっきまで点滅していた街灯も元に戻り、先程の出来事が嘘のように静まり返っていた。
「…デズモンド・タイニーか。」
俺はしばらくタイニーが去っていった方向を見つめていた。
「ぐおおおおぉぉぉぉぉ………ふがっ」
ケビンのいびきだ。
「はぁ…このおっさんと俺が泊まる宿、どうしようかな。ん?」
公園の外の大通りを走る人影を俺は見逃さなかった。
「子供か?他に人もいないみたいだし、ちょっくら応援頼んでみるか。」