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あずさ
153
番外編
『帰る場所』
付き合い始めて、一か月。
不思議なくらい何も変わらなかった。
仕事では今まで通り。
メンバーの前ではいつも通り。
でも。
二人きりになった時だけ、少しずつ変わったものがあった。
────────
💜side
「お疲れさまでしたー!」
ライブリハーサルが終わる。
「疲れたぁ……」
床へ寝転がると、翔太が笑う。
💙「おっさん」
💜「まだ若いもん」
🧡「ふっかさん、今日ダンス頑張ってたなぁ」
💜「照先生が厳しいんだもん」
💛「当たり前」
少し離れた場所から聞こえる照の声。
思わず笑ってしまう。
付き合う前と何も変わらない。
仕事中は恋人じゃない。
それが二人の約束だった。
だから照もいつも通り。
俺もいつも通り。
それでいい。
……はずなのに。
「じゃあ帰るか」
照が荷物を持って立ち上がる。
昔なら。
『じゃあまた明日』
そう言って別れていた。
でも今は。
“一緒に帰る”
それが当たり前になった。
💜「待ってー」
自然と照の隣へ並ぶ。
💛「忘れ物ないか?」
💜「大丈夫」
💛「スマホ」
「あ。」
机の上。
💙「付き合ったらもっとしっかりするかと思ったのに」
💜「翔太!」
💙「はいはい」
翔太は笑いながらスマホを投げてよこした。
💙「照、世話焼き頑張れ」
💛「頑張る」
即答だった。
💜「ちょっと!」
みんなが笑う。
照まで笑っていた。
────────
💛side
車へ乗り込む。
エンジンをかけると、隣から大きな欠伸が聞こえた。
💜「ねむ……」
💛「寝ろ」
💜「いいの?」
💛「着いたら起こす」
付き合う前も。
こんな会話は何度もした。
でも。
今日は少し違う。
信号待ち。
何気なく隣を見る。
深澤はシートへ体を預け、目を閉じていた。
安心しきった寝顔。
思わず笑う。
(無防備だな)
赤信号の間だけ。
ほんの少しだけ。
照はふっかの前髪をそっと整えた。
「……ん」
小さく寝返りを打つ。
その姿が可愛くて仕方ない。
────────
三十分後。
マンションへ到着する。
💛「深澤」
💜「……ん」
💛「着いた」
💜「あと五分」
💛「家だから」
💜「ここ家?」
寝ぼけている。
💛「俺ん家」
💜「じゃあ家か」
意味の分からない返事をして、また目を閉じる。
照は思わず吹き出した。
💛「起きろ」
💜「抱っこ」
💛「……」
一瞬固まる。
💜「冗談」
笑いながらドアを開けようとした瞬間だった。
ふわっ。
体が浮く。
💜「えぇ!?」
照が本当に抱き上げていた。
💜「ちょ、照!」
💛「言っただろ」
💜「冗談だって!」
💛「知ってる」
💜「降ろして!」
💛「無理」
💜「なんで!」
💛「せっかく言ったから」
マンションのエントランスまで、そのまま歩き出す。
💜「恥ずかしい!」
💛「誰もいない」
💜「今はね!」
顔が真っ赤になる。
照は珍しく楽しそうに笑っていた。
────────
💜side
家へ入る。
ようやく降ろしてもらうと、そのままソファへ倒れ込む。
💜「照のばか……」
💛「悪い」
全然悪いと思ってない顔。
付き合ってから気付いた。
照って。
意外とこういうところあるんだ。
普段はクールなのに。
二人きりになると、少しだけ意地悪。
「ねぇ」
照を見上げる。
💜「好き」
照は一瞬だけ動きを止めた。
付き合って一か月。
まだこの言葉には慣れないらしい。
耳が少し赤くなる。
💛「……急に言うな」
💜「なんで?」
💛「照れる」
思わず笑ってしまう。
あの照が。
照れてる。
💜「かわいい」
💛「うるさい」
💜「好き」
💛「……俺も」
照は照れ隠しのように俺の頭をぽんっと撫でる。
その手が優しくて。
温かくて。
付き合う前から何度も触れられてきたはずなのに。
恋人になった今は、その全部が特別に感じた。
────────
💛side
ソファで笑う深澤を見つめる。
あの日。
勇気を出してよかった。
もし言わなかったら。
今もきっと、一人で苦しんでいた。
💛「深澤」
💜「ん?」
💛「今日もお疲れ」
💜「照も」
照はゆっくり隣へ座る。
肩が触れる。
深澤が自然と寄りかかってくる。
その重みさえ愛おしかった。
仕事では今まで通りの相棒。
家では恋人。
そんな少しだけ変わった毎日が、二人にとって何より幸せだった。
そして今日も。
「おかえり」
「ただいま」
そのたった一言で、一日がちゃんと終わっていく。
二人の”帰る場所”は、もう同じだった。
コメント
6件
あの、今まであらすじ見てこなかったから全然違う話だと思ってたけど付き合うまでなんだね、めっちゃかんちがいしてたw 何気ない日々の話作ってくれるって神ですか?
きゃあああああああ😇😇😇 やばい尊すぎて胸が痛い… 照れるiwもfkさんも可愛い🫶
優の書く不器用ないわもっさんと 鈍感なふっかさん がちすき