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「おはようございます」
今日も爽やかな笑顔で同僚に挨拶をする。
「おはよう!婪!今日も相変わらず美人だね〜!」
明るく友好的なこの巫女は天城婪の同僚、一ノ瀬 凛華、ちゃんと女性 。
「、えっと今日のお祓いの予約は…うげッ」
紙を見た瞬間、苦手な人と目が合ったかのように、嫌な顔をする婪。
「ん〜?どれぐらい予約いるの──うわ」
誰が見ても同情してしまいそうなほど紙にぎっしり書かれた名前…、今日のお祓い予約人数は4桁は超えていた。
「金は相当入るだろうけどなぁ……」ボソ
小さな声で呟くが、勿論聞こえている
「まぁ〜ね…でもお金じゃなくて参拝者様達の為に!!でしょ?」
ニカッと明るい笑顔で凛華はそう言った。
相変わらずポジティブで純粋な奴だな…
「天あまつ神かみは天あめの磐門いー〜〜」
俺は一時も気を抜かず参拝者の悪霊を祓い続けた。
〜5時間後〜
「はぁああああ゛…、、やっと昼休憩…ってうわあああッッッ!!!!」
婪が気を抜いた瞬間、足の力が一気に抜け倒れた 。
「イッタタぁ……」
タッタッタッタ
「お疲れ様!」
両手に弁当を持った凛華がニコッと笑顔を見せる。
「早く食べよ!!」
「OK」
「ひは、なんへいふはいおはっはお?」(今何名くらい終わったの?)モグモグ
「まだ300…あとちゃんと飲み込んでから喋りなさい!!」
「ほへん〜!」(ごめん〜!)
口の中にどれだけ詰め込んでいるんだ、、、
…俺にとっての唯一幸せな時間が、凛華と喋る時間だった。
「!?」バッ(振り向く)
「…?婪、どうしたの?」
「え…、いや…今の音…」
「音?」
この様子からして凛華には聞こえていない、しゃんと言う音…神楽鈴か?
「ご、ごめん…なんでもない、、幻聴だったのかも」
幻聴…と思っておこう。
「そっか…体調悪いなら言ってね!」
本当に純粋だ。俺の言ったことを疑いもせず信じて、その上笑顔を振りまく。
(これが神に選ばれた人間なのかな)
「ご馳走様でした」
「ご馳走様〜!!」
「ん〜!お腹いっぱいっ!」
凛華がお腹をぽんぽんと叩く
「そんなに?笑」
「そんなにだよ〜!いっつもお弁当の量多いもん!」
「でもすっごく美味しいからいくらでも食べれちゃうかも!」
また笑う 綺麗でもあり元気で眩しい笑顔、見てるこっちまで元気になれる。
「じゃあ、私は戻るね!またね婪!」
笑顔で大きく手を振りながら小走りで授与所へ向かった。
「さて…、と」
身体を伸ばし、大きく深呼吸をする。
「やっぱり…凛華といると楽しいな…」
凛華のことを思い出し、少し微笑んだ瞬間──────
「──────!?」
またあの音が鳴る、、後ろから。
幻聴じゃない、確実に聞こえる。
今度は右から…
右を向いたが矢張り誰も、何も無い
前から、
左から
上から、後ろから、右から、
「ああ゛もう゛!!!何処にいるんだよ!!!」
何度も何度も鳴った方向を見ても何も無い、そんな状況が5分ほど続いた俺はとうとう荒い声をあげてしまった。
前から声がした
すぐに前を向くと
「…は…?」
髪は白く長い…目は金、肌は白い、、光っている…この本殿と同じくらい身体が大きい。
すぐに分かった。