テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
衰弱しきった楓を連れて、両親は再び病院へと駆け込んだ。
診察室の空気は重く沈んでいる。医師は、ベッドに横たわる楓の目をじっと見つめ、優しく、しかし厳かな口調で語りかけた。
「楓さん、よく聞いてくださいね」
医師の言葉に、隣に立つ母親が父親の手をぎゅっと握りしめる。
「あなたがいま罹っている病名は、『摂食障害』です。心が体にブレーキをかけてしまって、自分の意志だけではご飯が食べられなくなっている状態です。これ以上体力が落ちると命に関わります。一度、しっかり入院して治療しましょう」
(せっしょくしょうがい……にゅういん……?)
白い天井を見上げながら、楓の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。
ただ、推しに可愛いって思われたかっただけなのに。みんなに愛される、普通の女の子でいたかっただけなのに。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
静まり返った病室で、楓の、3ヶ月に及ぶ長い入院生活の幕が上がろうとしていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
22