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期待という縄で縛り付け私の首をどんどん締めていく気持ちへ変わった。そのとき初めて知った兄の苦しさと偉大さ。これまでよりもっと私は兄への憧れを持ったが両親はよく思ってくれなく兄一人少し離れたマンションへ追いやった。兄もいなく、両親と私だけのこの家は広く重く居心地の悪い場所で私は嫌いだ。
「お前、聞いてるのか?母さんと父さんはお前にあいつのような出来損ないになって欲しくないから言っているんだ。」
「あなたももう少し大人になったらわかるはずよ。母さんたちの言う通りだって。」
今ならいじめのことを言ってもいいんじゃないか。そう私は思ってしまった。
「ねぇ、お母さんお父さん。わたしクラスでいじめを受けているの。今日も教科書とか滅茶苦茶にされたの。」
私は鞄の中の教科書を母と父に見せた。
「お前が頭がいいからそいつらは僻んでいるだけだろ。敏感なんだよ。」
「でも、教科書がないと私授業受けられないよ。」
「あんたが鈍臭いからこうなったんでしょ?教科書代は自分で出しなさいよ。そういえば貴方いいワイン頂いたのよ。一緒に頂きませんか?」
母は父へ話す時だけの猫なで声になっていた。母はとても綺麗な人だ。なのでおそらく私の母は父と話す時は‘’女‘’になるのだと思う。それが小さい頃から私は大嫌いだった。
それに父も「あぁ、いいじゃないか。リビングへ行こう。」と返すのだ。母と父は私の部屋を去った。最後に当てにした父や母すら駄目だった。
もう誰にも私の声は届かない。
もう誰も聞いてくれない。