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「アオセン!海いこーぜ!!!」
玄関に入るや否や家中に響く声で誘う。
「…海?今日?今から?」
「もちろん!今日は絶好の海日和だぜ!」
「でも準備とかは?買うもんだってあるだろ?」
「今から行けば物揃えて昼前には遊べるすよ!よしいくぞー!!」
有無を言わさず車に押し込んだ。水着やパラソル、レジャーシート、浮き輪等々買い揃えて海に向かう。
「ちょっと待ってな…あっパラソル持ってくれ…よしできた!完璧だ!まず何する!?」
「まずご飯食べよ、お腹空いた。」
「まずは腹ごしらえか!良い考えだ!」
早めの昼食を終えて少し休んだら海へと走る。
「うおーつめてぇー!」
「気持ちー!」
「あ!魚いる!」
「え?どこどこ?」
「ほらあそこにちっこいのが!」
「いた!追いかけろー!」
真剣水泳バトルをしたり浮き輪に乗ってぷかぷか漂ったり。ひとしきり遊んだ所で一旦休憩と海から出た。レジャーシートに座ってつぼ浦は砂をいじり始める。
「俺ちょっとトイレ行ってくるわ。」
「うーす。」
帰りに何か買って行ってやろうとソフトクリームを両手に戻ってきたら、少し遠くで何やら見知らぬ女性2人と話している。
「つぼ浦ーアイス買ってきたよ、はい。この人達はどなた?」
「おぉサンキュ!なんか一緒に遊びたい?らしい。」
「えーお兄さんもイケメン〜」「4人で遊びませんか〜?」
絵に描いたようなナンパだ。つぼ浦は困惑しながら青井に助けて、とアイコンタクトを送っている。
「あーごめんなさいね、俺ら2人で遊んでるんで。」
「でも男だけって虚しくないですか〜?」「そうそうちょっとだけでも遊びましょ〜よ〜」
「虚しい…?俺には貴方達のほうが虚しく見えますけどね、カップルのデートを邪魔して。」
カチンときた青井はつぼ浦の腰を抱きながら貼り付けたような笑顔で言う。女性2人はそそくさと退散していった。
「はぁ助かったぜ。なんだったんだ?…アオセンなんか怒ってる?」
「つぼ浦には怒ってないよ、あの人達が失礼だなって思っただけ。あっちから急に声かけてきたの?」
「いやテント立てらんなくて困ってるぽかったから、手伝うかって。街のヤツかと思って声かけたら全然知らん人だった。」
「そういう事か、本当優しいなお前は。あれナンパだよ。」
「ナンパ?いやんな訳ねぇだろ。俺にナンパなんかしてどうなるんだよ。」
「お前の純粋さは好きだけど時々心配になるわ…悪い虫付かないようにしないとな。」
「?おぉ…こっち1口食うすか?」
「ありがと、こっちも。」
食べ終わると砂遊びを再開するつぼ浦。どこまで高い山ができるか挑戦しているらしい。
「こういうのって綺麗な城とか作るもんじゃないの?」
「そんな生半可なもんじゃねぇ…これは自分との戦いだ!!」
青井も手伝わされながらどんどん規模が大きくなり、腰辺りまでの高さの山ができた。
「はぁーもう体力の限界だ…俺達の戦いはここまで…」
「いや充分上出来だろ。あっつーちょっと休んで海入るか。」
「酸素ボンベ持ってきてるすよ、潜ろうぜ!」
普段海に入る機会は事件対応ばかりで景色を見る余裕なんて無かった2人は、魚の泳ぐ美しい海の中を心ゆくまで楽しんだ。
「はー楽しかった!魚いっぱいいたな!」
「いやぁ癒されたわ、ダイビング良いな。」
「次は?ビーチボールもあるっすよ?」
「ごめん、ちょっともう疲れたわ。お前体力無限すぎ。」
「じゃあもう帰る?」
「んー?もうちょっと海見てこーよ。座って、ほら丁度綺麗な時。」
優しい風が吹く中、2人並んでオレンジ色に染まる海に目を輝かせた。