次の日
俺はずっと落ち着かなかった 。
机の中にはまだ昨日買った小さな袋の
クッキーが眠っている 。
昼休み 、Atはいつも通り窓際でぼんやり
外を眺めていた 。
その横顔に話しかけようと 、
俺は1歩踏み出す 。
でも足がすくんでまた戻る 。
放課後 。
廊下に立つAtを見つけ胸の奥で
「今しかない」と呟いた 。
Mz「… あの !」
俺は思い切って声をかける 。
Atはこちらを振り向く 。
Mz「これさ …昨日見つけたんだ !」
Mz「もし良かったら …!」
袋を差し出す 。手は震えているだろう 。
Atは一瞬きょとんとした後 、
小さく目を輝かせた 。
At「これ 、俺に ?」
Mz「う 、うん !」
Mz「弟くんと一緒に食べられるかなって」
Atは袋を受け取って 、じっと眺めた 。
そうしてAtがぽつりと言った 。
At「俺さ …今日誕生日なんだよね 。」
耳を疑った 。
え ?は ?誕生日 ?
こんな偶然があるのか …!?
At「誰かにこういうの貰うの初めてでさ」
俯いたまま言った 。
だけど耳はほんのり赤く染まっていた 。
Mz「!?」
その姿に胸がぎゅっと締め付けられた 。
無関心で 、誰にも心を見せないAtが …。
今 、少し俺にだけ 、照れている 。
At「… ありがと 。嬉しい …」
その一言は 、たどたどしくて 。
でも確かに 俺に向けられた言葉で
涙が出そうになる 。
Mz「全然っ …!誕生日おめでと 」
そこでAtが口を開いた 。
At「 … なぁMz太」
Atがぽつりと続ける 。
At「 … 今度お礼したいからさ」
At「空いてる日 … 教えて ?」
顔を赤くして 、視線を泳がせながら 。
Atが自分から俺に予定を聞いてくれた 。
頭が真っ白になる 。
心臓がうるさすぎて 、俺はちゃんと
答えられているか分からなかった 。
Mz「え …俺はいつでもっ …!」
At「ん …分かった 。」
そう言った瞬間 、Atはまた俯いて 。
でも耳の赤さは隠せていなかった 。
帰宅してからも心臓は跳ねていた 。
偶然が重なっただけかもしれない 。
でも今日という日は俺にとって
忘れられない記念日になった 。
Mz「まじで好きなんだな 、俺 …」
コメント
1件
死ぬ