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あー、これめっちゃいい話やった…! おらふっぽいっていうマスコットが四人からそれぞれ届くの、最初はギャグみたいな流れやったのに、最後の方で「記憶を見分けてる」っていう気づきに繋がるところが刺さったわ。同じ見た目なのに、誰からもらったか手に取るだけで分かるって、それってそれだけ一つひとつのやり取りがちゃんと特別やったってことやもんな。特に一個目だけは特別やけど、残りの三つが薄くなるわけじゃないってニュアンス、すごく優しい気持ちになった。 Nebraskaさんの日常の中の「あたたかさ」を拾う切り取り方、ほんま好きやわ。また続き読みたい🔥
最初の一個は、ドズルからもらったものだった。
水色で、丸くて、雪だるまなのか何なのか少し分からない、妙に気の抜けた顔をした小さなマスコット。雑貨屋の棚でそれを見つけたドズルが、「これ、おらふくんっぽい。」と言ったのが始まりだった。
おらふには、どこが似ているのか最後までよく分からなかった。色なのか、雰囲気なのか、それとも顔なのか。少なくとも丸さではないらしい。結局、ドズル自身もうまく説明できないまま「なんとなく。」で話を終わらせ、そのまま買ってくれた。
家へ持ち帰ってから、おらふはそれを机の端に置いた。むぎやそらに触られないよう少し高い位置へ置き、掃除をする時には一度手に取って別の場所へ移し、終わればいつもの位置へ戻す。倒れていれば起こしたし、少し向きが変わっていれば、何となく正面へ直した。
特別扱いしているつもりはなかった。
少なくとも、自分では。
けれど、気づけばその小さな水色が机の上にいることは、すっかり当たり前になっていた。
二個目が来たのは、その数週間後だった。
収録が終わり、みんなで帰る準備をしていた時、ぼんじゅうるが紙袋を持って近づいてきた。
「おらふ。」
「はい?」
「これ。」
突然、小さな透明の袋を差し出される。中に入っているものを見た瞬間、おらふは目を止めた。
水色で、丸くて、気の抜けた顔をしている。
見覚えがありすぎた。
「……え。」
袋越しにそれを指さす。
「これ、なんで持ってるんです?」
「なんでって。」
ぼんじゅうるは不思議そうに眉を上げる。
「見つけたから。」
「いや、そうやなくて。」
おらふは袋を受け取り、改めて中を見る。色も顔も大きさも、家にあるものとまったく同じだった。
「これ、僕持ってる。」
「え、マジ?」
「マジですよ。」
「うそ。」
「ほんまですって。」
おらふが笑うと、ぼんじゅうるも袋の中を覗き込んだ。
「いや、でもこれ見た瞬間さ。」
「はい。」
「おらふっぽいなと思って。」
その言葉を聞いた瞬間、おらふは黙った。
ぼんじゅうるが首を傾げる。
「何?」
「……ドズルさんも同じこと言ってました。」
「え。」
今度はぼんじゅうるが固まった。
「同じやつ?」
「同じやつ。」
「同じ色?」
「同じ色。」
「完全に?」
「完全に。」
数秒、二人で見つめ合ってから、ぼんじゅうるが先に吹き出した。
「何それ。怖くない?」
「怖いですわ!」
おらふも笑う。
「なんで二人とも僕見てこれ思い出すん!」
「知らないよ!」
「しかも全く同じやつ!」
「いやでも、似てるんだって。」
「どこが!?」
「なんか。」
またそれか、とおらふは笑いながら額を押さえた。
「みんな説明できへんやん。」
「でも分かる人には分かる。」
「分からんわ。」
そう言いながらも、二個目は受け取った。ぼんじゅうるが自分を思い出して買ってきてくれたのだと思うと、断る理由はなかったし、普通に嬉しかった。
家へ帰ると、机の上に二つ並べて置いた。
見れば見るほど同じで、違いを探そうとしてもほとんど見つからない。
Nebraska
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ソラ
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ぴのん
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「増えたなあ。」
独り言を言うと、むぎが下から見上げてくる。
「触ったらあかんで。」
当然、猫は聞いていない。
おらふは二つを少し離して置き直した。
右がドズル。
左がぼんさん。
別に名前をつけたわけではない。ただ、どちらを誰にもらったのか分かるように、自然とそういう並びになっただけだった。
三個目は、おんりーだった。
その日は撮影前で、おらふが機材を触っているところへ、おんりーが何気なく近づいてきた。
「これ。」
また何かを渡される。
袋を見た瞬間、嫌な予感がした。
「……ちょっと待って。」
まだ開けていないのに、中の水色が見える。
「何。」
「いや。」
おらふはゆっくり中身を出した。
丸い。
気の抜けた顔。
三度目。
「なんで!?」
思わず声が大きくなる。
おんりーが少し眉を寄せた。
「何が。」
「またこれ!」
「また?」
「僕、これもう二個持ってるんやけど!」
「そうなの。」
「そうなのやないねん!」
おらふはマスコットを掲げる。
「ドズルさんとぼんさんにもらった!」
おんりーは少し黙り、マスコットとおらふを交互に見る。
「……まあ。」
「まあ?」
「っぽいし。」
「またそれ!?」
少し離れたところにいたぼんじゅうるが声に反応して近づいてきた。
「何?」
「ぼんさん!」
「うん。」
「おんりーも!」
おらふが三個目を見せると、ぼんじゅうるが目を見開いた。
「うそでしょ。」
「ほんまですって!」
おんりーは二人を見て、少しだけ口元を緩める。
「そんなに被る?」
「被ってるんよ!」
ぼんじゅうるがマスコットを手に取った。
「でも分かる。」
「ぼんさんまで。」
「いや、だってこれおらふだもん。」
「僕こんなんなん?」
「こんなん。」
「どんなんやねん。」
三人で笑っていると、その様子を見ていたドズルが、少し離れたところから声をかけてきた。
「何の話?」
おらふは振り返る。
「ドズルさん。これ。」
三個目を見せると、ドズルは普通に答えた。
「あ、それ。」
「それ、やないですよ。」
「同じやつだ。」
「同じやつです。」
「いいじゃん。」
「よくない!」
「なんで?」
「増えとるから!」
「かわいいじゃん。集めれば?」
「勝手に集まっとるんです!」
その場にいた全員が笑った。
その夜、机の上には三個の水色が並んだ。
こうして並べると、少し不気味なくらい同じ顔をしている。
「こわ。」
思わず笑う。
それでも、一つずつに違う記憶がついていた。
雑貨屋でドズルが手のひらに乗せ、「これ、おらふくんっぽい。」と見せてきた一個目。収録終わりにぼんじゅうるが「おらふっぽい」と言いながら渡してきた二個目。撮影前、おんりーが何でもない顔で差し出した三個目。
見た目は同じでも、おらふの中ではまったく同じではなかった。
そして、四個目が来た。
「はい。」
MENが差し出してきた袋を見た時点で、おらふはもう嫌な予感がしていた。
「MEN。」
「何すか。」
「それ。」
「はい。」
「水色?」
「そうっすね。」
「丸い?」
「まあ。」
「ちょっと待って。」
MENが袋を差し出す。
おらふはまだ受け取らない。
「何すか。」
「絶対あれやろ。」
「あれ?」
「とぼけんなって!」
MENが笑う。
「知らないっすよ。」
「何がすか、みたいな顔すんな!」
「実際何がすか。」
「その反応もう知っとる人のやつや!」
結局、おらふは袋を受け取った。
中を見る。
やっぱりいた。
水色で、丸くて、気の抜けた顔。
「うわあ!」
おらふが叫ぶと、MENが笑う。
「そんな嫌です?」
「嫌やないけど!」
「じゃあいいじゃないすか。」
「そういう話やなくて! これで四個目!」
「へえ。」
「へえ、やない!」
「人気っすね。」
「僕が!?」
「マスコットが。」
「そっち!?」
MENは平然としている。
「見た瞬間、おらふさんっぽいなと思ったんで。」
おらふは両手で顔を覆った。
「もう全員やん。」
「そうなんすか。」
「ドズルさんも、ぼんさんも、おんりーも!」
「すごいっすね。」
「他人事!」
MENが肩を揺らして笑う。
その顔を見て、おらふも結局笑った。
数日後、なぜかその話は全員に共有されていた。
「四個並んでるの見たい。」
ドズルが言う。
「なんでです?」
「面白そうじゃん。」
「僕んちですよ?」
「写真でいいよ。」
「送らん。」
「なんで。」
「なんか嫌や。」
「見たい。」
ぼんじゅうるもすぐ乗ってくる。
「俺も見たい。」
「なんでやねん。」
おんりーまで、
「ちょっと見たい。」
と言い出した。
「おんりーまで!」
MENは何も言わない。
でも、顔が見たがっている。
「分かったって!」
結局、家へ帰ってから写真を撮った。
机の上に四個。
きれいに横一列。
画面越しに見ると、自分でも少し笑ってしまうくらい圧がある。
グループチャットへ送ると、すぐに返信が来た。
ぼんじゅうる。
『増殖してる』
ドズル。
『かわいい』
MEN。
『軍団』
おんりー。
『圧ある』
おらふは画面を見ながら笑った。
『全部お前らのせいやからな』
すぐにまた返信が続く。
ドズル。
『でも似てる』
ぼんじゅうる。
『似てる』
おんりー。
『分かる』
MEN。
『異論ないっす』
「なんでやねん。」
一人で笑うと、むぎが驚いたようにこちらを見る。
「僕、こんな丸い?」
もちろん、むぎは答えない。
それから少しして、掃除をしていた時のことだった。
机の上の四個を、一度まとめて別の場所へ移す。
掃除が終わり、戻そうとして手を伸ばしたところで、おらふは少しだけ動きを止めた。
全部同じだった。
傷もない。
汚れもない。
タグも外してある。
普通なら、どれが誰からもらったものか分からなくてもおかしくない。
おらふは四個を一つずつ手に取って見た。
一つ目。
違う。
二つ目も違う。
三つ目も違う。
最後の一つを手に取った瞬間、迷いが消えた。
「あ。」
ドズルにもらったやつ。
理由はうまく説明できなかった。
顔も、形も、色も同じで、目印になるような違いは何もない。それでも手に取った瞬間、雑貨屋でドズルがこれを持ち上げた時の光景や、「これ、おらふくんっぽい。」と言った声、そのあと袋を受け取って帰った道まで、一緒に思い出された。
物を見分けているというより、記憶を見分けていた。
そう思うと、少し可笑しくなった。
他の三つも順番に手に取り直す。
ぼんじゅうるからもらったものは、収録終わりの笑い声と一緒に分かる。おんりーのものは、渡された時の無表情と、そのあと少しだけ笑った口元が浮かぶ。MENのものは、最初から絶対わざとだと思ったあのやり取りごと残っている。
全部同じなのに、全部違う。
それぞれの一個に、それぞれの人との時間がついていた。
全員、別々の日に、別々の場所で、同じものを見て自分を思い出した。
考えると、少し変だった。
けれど、それ以上に嬉しかった。
自分が知らないところで、誰かが棚を見て、「あ、おらふっぽい」と思ってくれた。その瞬間、自分はそこにいなかったのに、四人の頭の中には少しだけ自分がいた。
そう考えると、机の上の四個が急にただの同じマスコットではなくなる。
おらふは一つずつ、元の場所へ戻した。
最初の一個を、一番右。
その隣に、ぼんじゅうる。
おんりー。
MEN。
四つ並べると、やっぱり少し圧がある。
けれど、今度はその並びが何となく気に入った。
最初の一個だけは、やっぱり少し違う。
ドズルが最初に自分を思い出して、選んでくれたものだから。
それは認める。
けれど、その特別さのせいで残りの三つが薄くなるわけではなかった。ぼんじゅうるも、おんりーも、MENも、それぞれ別の場所で同じものを見て、自分を思い出してくれた。
好きな人にもらったものと、大事な仲間にもらったもの。
どちらも、同じ机の上に並んでいていい。
おらふは四個の向きを少しずつ直し、全部が同じ方向を向いたところで、満足して手を離した。
「増えたなあ。」
机の下から、むぎがじっと見上げている。
「ほんまに触ったらあかんで。」
言いながら笑う。
もちろん猫には関係のない話だったけれど、四個の水色は今日も机の上で、何も知らない顔をして並んでいた。