💙翔太side
しばらく元気が出なかったけど、俺は持ち前の精神力で仕事は穴を空けずにこなしていた。
案外みんなとも普通に接することができているし、仕事を終えたらサウナに直行して汗を流し、毎日友達と夕飯に出掛けるようにして、俺は日々を乗り切っている。
ラウールとはあれ以来、惚れた腫れただのって話は一切していない。
一方でめめと阿部との交際は順調そうだ。
一緒に来たり、一緒に帰ったりする姿をたまに見かけるようになった。
逆に二人が一緒にいるせいか、ラウールが最近はやたら康二と一緒にいるなと思った。
二人に気を遣っているのかなと思っていたら、ある日めめに相談を受けた。
🖤最近、しょっぴー、ラウールと話してる?
💙いや、どうかしたか?
🖤全然、家に来なくなってさ
💙そうなのか
🖤しょっぴーならなんか知ってるかと思ったんだけど。ありがとう、康二に聞いてみる
💙おう
あんなにめめに甘えっぱなしだったラウールが?何があったんだろう。
めめも大変だなあとか俺は呑気に思ってたんだけど。
チーフマネージャーからラウールの長期渡仏を聞かされたのはそれからすぐのことだった。
パリコレのモデルを目指して頑張ってたのは知っているけど、長期間日本を離れようとしてるなんていうのは初耳だ。
最短で6ヶ月、パリに行きっぱなしになるらしい。
💛半年も…
照も驚いている。
めめも何も聞いてなかったようだ。
🤍ごめんね?俺、どうしても変わりたくて
ラウールは、8人全員に向かって頭を下げて、言った。
🤍必ず大人になって帰って来ます
俺たちの中には誰一人として、ラウールの固い決心に反対する者はいなかった。
そんなことがあってしばらく経ったある日。
仕事を終え、いつも通り一人でサウナに行こうとしていたら、急にラウールに呼び止められた。
🤍しょっぴー、今夜空いてる?
💙空いてるよ
🤍じゃあ、デートしない?
💙デート?
🤍夜景の綺麗なところ見つけたから、しょっぴーに見せたくて
💙別にいいけど
ほんの気まぐれだった。
ラウールが渡仏するまでもうあまり日がないし、久しぶりに話してみたくなったのだ。
俺はラウールに連れられるまま、タクシーに乗って、横浜方面に向かった。
💙すげえ
🤍でしょう?
人気のない港が見える小高い丘の上で、ベンチで二人、海を眺めて座っている。
目の前にはキラキラした横浜の街。
東京と違うのは、広い海が広がっていること。建物がそこまで多くないこと。
💙なあ、フランス行くの、いつから決めてたんだ?
🤍しょっぴーにフラれた時から
💙おい
🤍ごめん。でも本当
ラウールは、立ち上がって、深呼吸した。見上げた空にも星が瞬いている。
🤍しょっぴーに守ってもらう俺じゃなくて、しょっぴーを守れる俺になりたいんだ
こいつ。
もう諦めたんじゃなかったのか…。
でも正直俺はちょっとキュンとした。
🤍帰って来たら、また告白するよ
💙………
その帰り。
ラウールに差し出された手を俺は自然と受け入れ、夜の横浜を二人で手を繋いで帰った。
コメント
5件
えーん朝からキュンキュンしました🥺 ラウの真剣な気持ちが眩しくて切ないです。 結末楽しみだけど終わってほしくないジレンマ……
これ書いてる時に、ラウが海外?に行くインスタが出て震えたよねw まっったくの偶然です😳 次で終わります。 いつも読んでくださりありがとうございます😊