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2 - 借金

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2023年08月20日

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「だからさー、シャケが鈍感っていうのもあると思うわけよ笑」

「は?何の話してんだよ笑」

「いやだからさあ〜…」

飲み始めてから何時間経ったのだろう。机にあれだけ並んでいた刺身やつまみも、 もうほとんど無くなっていて、あれだけ大量に買っておいた酒はほとんどが空になっていた。 俺はもう1缶だけ飲みたいと思い、目の前のまだ誰も手をつけてない酒に手を伸ばす。だけど…

「こら、もうダメ。シャケ酔いすぎだから…」

と…酒を取ろうとした手をきんときに差し止めされてしまう。

「あ?別に酔ってない。あと1缶だけ。」

「ダメだよ。顔真っ赤なのに酔ってない、って…流石にね?笑」

きんときはそう言うと立ち上がり残りの酒を全部冷蔵庫へしまいにキッチンへ行ってしまった。

「おーい…、ほんとに酔ってねえよ〜…」

「ははっ笑きんときは過保護だなぁ…。シャークん気づかないの〜?」

「は?だから何がだよ笑」

「気づかないならいいや〜笑」

ぶるーくとそんな話をしているとキッチンから水を片手に戻ってきたきんときが「ほらシャケ、水飲みなよ。」と水が入ったコップを俺に差し出してきた。コップを受け取り、水を1口だけ飲むと少しだけ頭がスッキリした気がした。そのまま水を飲み干すと

「どう?少しはスッキリした?」

と、きんときが俺の顔を覗き込んで訊いてくる。

「ああ、まあ…」

俺がそう返すと「なら良かった。」と言って空になったコップを流しに片付けに行った。その途端になかむやぶるーく、きりやんが何やらまた騒ぎ始めた。

「…なーんかねえ。きんときも切ないわ。」

「え、それな?僕もそう思う。」

「まあシャークんだからなあ〜…」

「おいさっきからなんの話してんの。」

話の趣旨が分からずそう尋ねるがコイツらは「いやあ…でもねえ?」とか「いやまあ…うん、」とかなんだか引っかかる反応しかしてこない。水を飲んだおかげで思考がスッキリし、改めて思い出してみたが…コイツら今日飲み始めてからずっとこんなことしか言ってない気がする。

「だから…なんの話してるんだって…」

俺がそう聞いたところで、きんときが戻ってきて「なんの話してんだよ?」と言いながら俺の隣に腰掛ける。

「ん?いや、よくわかんない。」

「ふふっ笑なにそれ?笑」

俺がそう答えるときんときは少し笑いながら返す。だけど、何かが可笑しかったのか彼奴らはまた騒ぎ始めた。

「はあぁー!きんさんあからさまだねえ?」

「そうだぞ。バレバレだからな」

「とっとと言えばいいのによ?」

「…さっきからずっとなんの話してんの?笑 聞いてもはぐらかすしさあ…そろそろ教えろよ笑」

なんだか俺だけ仲間はずれにされてる感覚があったから思い切って聞いてみる。

「…だってよ、きんとき?」

「ほらきんさん答えて〜笑」

俺はなかむとぶるーく きりやんに聞いたつもりだったんだが何故か回答を迫られるのはきんとき。益々意味が分からなくなり頭が混乱してくる。

「お前らほんとに…」

当のきんときは話の趣旨は理解しているようだが少し答えに困っているようだ。

「ほらきんとき、シャケも困っちゃってるよ?早く言いなよ〜笑笑」

なかむは酔っているのかいつもよりも明らかに高いテンションできんときにそう言う。きんときはそんな なかむに少し呆れながらもずっと何かを言おうと口を開けたり閉じたりしている。

「あの…さ、シャケ?」

そこからようやく口を開いたのはきんときで、俺の目を真っ直ぐ見ながらそう言ってくる。その表情はいつもの余裕のある表情とは違い少し緊張しているように感じた。

「なに?」

俺は早くきんときが何を言うのかを知りたくてつい早口で答えてしまう。

「俺…さ、シャケのこと…」

…きんときがそう言いかけたところで、きんときの方からドンッと鈍い音がする。その音と共にきんときの「痛ったっ?!?!」…とデカい声が響いた。何が起きたのか分からなくてきんときの方をみるとそこには頭を抑えたきんときと分厚い本を持ったスマイルがいた。こいつ…存在感無さすぎて忘れてたけどそういえばずっと部屋の隅で寝てたんだったわ。

「おい痛ってぇなスマイル…、なんだよ?」

きんときは立ち上がりながらスマイルにそう訊く。だけどスマイルは表情を崩さずにきんときに「そんな大事な話、今言うことじゃねえだろ。」と淡々とした様子で言う。その言葉を聞いたきんときは少し俯いてから「…確かにそうだな、ありがとう。」と言った。

「…いや、意味わかんない。どういうことだよ」

俺だけが唯一現状を理解出来ていなかった。そんな俺の言葉を聞いたなかむは「は?まじで言ってんの?」と鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしている。だけどそれはなかむだけじゃなくここに居る全員が同じような間抜けな顔をしていた。

「…あー、もういい時間だし解散しようぜー?」

じばらく無言の時間があったがそれを打開したのはなかむの一言だった。それを聞いた俺以外の皆はそれに乗っかり「…そうだな、!」「確かに〜、そろそろ帰らないとね〜…」とか言いながら片付けを始めた。

とりあえず俺も「そうだな」とだけ返事をして机の上に散らかった空き缶や皿を片付ける。皿を流しに持っていこうとしたところで俺の後からキッチンにきたきんときに

「シャケー?」

と話しかけられた。

「なに。」

「今日さ、一緒に帰ろうよ。」

「あー…。まあいいけど、なんで?笑」

特にこれといった予定も無かったので一緒に帰ることにした。さっきあいつらがずっと言ってたことも気になるからな。

「ん〜…まあちょっと大事な話、かな」

「大事な話?今言えばいいじゃん。」

「2人だけのときに言いたいの笑」

「ああー?まあ、そっか…」

「うん。じゃあ、また帰りね。」


「んじゃ、また今度。」

「はーい。ぶるーく次の撮影、寝坊すんなよ。」

「いやわかってるからぁ…、」

「じゃ、」

いつもの帰り道はなかむ、ぶるーく、きりやん、と 俺、きんとき、スマイルの3人ずつで二手に別れるんだが今日はスマイルも用事があるみたいできんときと2人になった。外はもうかなり暗くなっていた。昼間よりはだいぶ涼しくなっていて夜風が気持ちいい。そんな中、 俺はきんときの言っていた大事な話、が気になって仕方が無かった。

「ねえシャケ。」

俺がそんなことを考えていると丁度いいタイミングできんときが話しかけてくる。多分大事な話、ってやつなんだろ?

「ん、何だよ。」

だいぶ前から焦らされて俺は早く話の内容が知りたかった。だけど俺を呼んだ後きんときは1度立ち止まってしまった。なんだろうと思い俺も立ち止まるときんときが口を開いた。

「俺、シャケのことが…」









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