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「帰って」
渡辺の部屋を訪ねた宮舘は、開口一番そう言われた…
一応、中には入れてくれたものの…自分から離れて視線さえ合わせようとしない
「まだ何も言ってないのに…」
「じゃあ、早く言って帰ってよ」
聞く耳を持たない渡辺に、困った様に眉を顰めると…
それじゃあ、言いたい事を言わせてもらおうかと口を開く
「照に聞いた…」
岩本の名前を聞いた途端、渡辺の肩が小さく揺れた…
側にあったカーテンを握り締め…何かに耐えている様にじっとしている
「別れたんだって?」
「だから何?」
何処までも投げやりな渡辺に、宮舘はもう一歩近付いた
「来るな!」
「何故?」
「だって…俺にはそんな資格無い…」
そう言って振り返った渡辺の瞳は涙で濡れて、今にも溢れて落ちそうだ…
「照も涼太も傷つけて、それでも自分だけ幸せになりたいだなんて…俺には出来ない。だから俺の事はもう…」
「放っておけと?」
宮舘の言葉に渡辺が頷く
「悪いけど…」
真剣な顔をした宮舘が距離を詰める
「俺は、惚れた相手に【放っておけ】と言われて…【はい、そうですか】なんて簡単に引き下がれる程、出来た男にはなれそうにない…」
ついに、宮舘の手が渡辺の腕を捕まえる…
「離せよ!」
「!」
引き寄せて抱き締める…
「だって俺…照に酷い事…」
「うん、全部聞いた…。その上で、照に【翔太を幸せにしてやって欲しい】って頼まれたんだ…」
勿論そんな事言われなくても、翔太は俺の手で必ず幸せにするつもりだ…
「照…」
岩本の優しさを知り、宮舘の腕の中でその名を呼ぶ…
「俺の腕の中で、他の男の名前を呼ぶなんて……そんな事して、どうなるか分かってる?」
ニコッリ微笑みそう告げると、渡辺が困惑した表情を浮かべる
「駄目、逃がさない…」
腕の中から逃げ出そうとした渡辺を、腰を抱いてまた引き寄せた
「翔太…ほら、こっち向いて…」
顎に手を添え、上を向かせる…
宮舘の顔が、ゆっくりと近付き…目を閉じた渡辺の瞳からは一筋の涙…
『もう絶対、離さない…』
以前犯した過ちを、2度としないと心に誓う…
これからは、翔太と共に生きて行く
2人、2度目の恋は…今、始まったばかり…。
コメント
4件
せめて、せめて、このパターンなら、いわふか幸せになってくれい😭😭😭