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次の日
摩浪side
目を覚まし体を起こすと腰に少し痛みがはしる。
摩『いったぁ…』
路成に酒を飲ませすぎたし、やらせ過ぎた。でも俺が時間とってあげる事が出来なかったのが悪いわけだから仕方ない。
摩『(あの事言わないと)』
赤「まだ眠いなら寝よ」
いつの間にか路成も起きてて俺に抱きついてた。「寝よ」と誘ってくる彼もまだ眠そう。二日酔いはしてないっぽい。
摩『大丈夫だよ。それより路成、話しがある』
赤「わかった。そんなら起きよか」
2人で寝室を出る。洗顔も着替えも済ませ、リビングのソファに2人で座る。
摩『あんね、バレーの事…なんだけど』
赤「おん」
摩『ッ…えっとね、その』
いざ言おうって思ってるのに言葉が出てこない。早く言わなきゃと考えると声も出なくなる。大事なことだから伝えなきゃいけないのに。そして俺の身体が震えて来て、涙が溢れてきた。
自分の情けなさとか、惨めさとかそういうので、心がいっぱいいっぱいになる。
赤「ゆっくりでええから、大丈夫やから」ナデナデ
摩『グス、ッ…うん。あのね、路成っ。俺、バレーから距離おくことにした』
泣きながらそう告げた。彼の顔を見ると真剣なままだった。俺が話をしようと言った時からずっと…
多分分かっていたんだと思う。
赤「東京に行った理由はそれと関係しとる?」
摩『うん。知り合いの先生に診てもらってた。診断結果が、イップスって言う運動障害だって』
イップスの説明をした。診断書も見せて路成にも状態を把握してもらう。その時ちょっと苦しかった。
摩『ごめん路成…』
赤「謝る必要ない。摩浪はなんも悪ない」
摩『だって、迷惑かけてばっかで…ッ(泣』
赤「迷惑なんて事絶対ありえん」
涙が溢れて止まらない俺を、路成は抱きしめて背中を擦ってくれた。
赤「お前はちゃんとやってた。それに大変なスケジュールで心配してた。様子がおかしいなって思う事幾つもあったし、今も身体が震えてる。そんだけキツイ思いしてたんやな」
摩『ごめんなさいッ、ごめんなさい(泣』
赤「お前は悪くない謝る必要ない。それに成長できるええ機会や。これからの事ゆっくり考えような」
その言葉を聞いた瞬間、さっき以上に涙が溢れてきた。そんな俺の泣き顔を見られたくなくて、彼に力いっぱい抱き着いた。
摩『路成ッごめん。今の俺っ…謝るしか出来ないッ。頭の中、ぐるぐるしてる。わかんない(泣』
赤「そか…なら今はそれでええよ」
優しすぎる。彼の優しさが嬉しくて仕方がない。でもいつまでも甘えてられない。そう思えば思うほど、彼を求めてしまう。
摩『路成ッ、ごめんなさい』
赤「こっち見て」
俺の顔を両手で優しく触れ包む。
赤「早く助けられんくてごめんな」
摩『なんでッ、あやまるの』
赤「お前が大切やから」
彼の目を見ると少し涙目になってた。でも我慢してることが分かった。
赤「(ここで俺が泣くのは違う。1番辛いのは摩浪なんやから)」
摩『どうしたの…?』
赤「俺も辛い。早く助けてやれんかったのと、摩浪が大好きな事を失いかけそうやから」
摩『ッ、うん…ごめんなさいっ』
泣きたいのを我慢してる。だから俺も泣き止もうと体に力を込めた。でも涙はそう簡単に止まってくれなくて、余計に泣いてしまった。
こんな俺を路成は抱きしめてゆっくり頭を撫でてくれた。そして時々、頬や額に触れるだけのキスをして俺を落ち着かせてくれる。
赤「気持ちがスッキリするまで、好きなだけ泣き。溜め込むのは体に良くないからな」
優しい言葉、触れ方。今だけは彼の優しさに甘えようと思う。
摩『ねぇ… 』
赤「ん?」ナデナデ
摩『ちゅーしたい…』
赤「普段からそれ言ってほしいわ(笑」
そんなことを言いながら笑う彼はどこか嬉しそう。俺の顔を両手で優しく包むと、ゆっくりキスをする。最初は長く触れるだけ、だんだん舌が絡んで体と心を満たす。
摩『んっ、ありがとう』
赤「落ち着いたか?」
摩『うん』
赤「これからの事は休みながら考えよ。その方が摩浪なりの答えが見つかるはずや」