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朝。試合当日。ホテルの部屋で代表のジャージに着替えた藍はドアの前で立ち止まった。
「祐希さん……」
「ん?」
「行く前に、キスして」
「え?」
「お守り代わりに。今日、絶対勝ちたいから」
「藍……」
「俺、祐希さんが試合出なくても、祐希さんからのキスがあれば絶対勝てる気がする。だから…」
ちょっと照れて、でも目は真剣で。
「……ったく。試合前にそんな顔すんなよ」
祐希はそっと藍の頬に手を添えて、優しくキスを落とした。
「絶対、勝ってこいよ。帰ってきたらもっとキスしてやるから」
「うん。全力で勝って、帰ってきたら全力で甘える」
祐希からもらったお守りは、一番あったかくて一番強い味方だった。
——試合後。
汗だくでロッカールームに戻った藍は、真っ先に祐希の元へ。
「祐希さん!勝ったよ!」
「よく頑張ったな。約束通り、甘えにこい」
藍は嬉しそうにニヤリと笑って小さい声で返す。
「全力で甘えるから。覚悟しといて!」
その夜、祐希の部屋に飛び込む藍はもう試合の疲れも忘れていた。 お守りは試合前だけじゃなく勝った後も一番あったかかった。