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重厚な扉の向こう、南無、教皇、港、法師、渋谷、石動の六人が机を囲んで座っている。会議室には緊張感が漂っており、狩り手たちの視線は教皇に集中していた。
教皇は微かに震える手を机に置き、深い息を吐きながら話を始めた。
「零が…動き始めた。」
その言葉だけで、場の空気がさらに重くなる。
「零とは…」
南無が珍しく躊躇した様子で質問する。
教皇は、目を閉じて静かに語り出した。
「零は、私を含む異能者たちの中でも、最も特異な力を持つ男だ。その力の名は『ストック』――彼が屠った異能者の能力を奪い、己のものとする能力だ。」
その説明に、石動が驚いた顔をする。
「つまり、彼は今までに倒した異能者の力を全部使えるってことか?」
「その通りだ。」教皇の声が低く響く。「今、彼が持つ能力の中には、『炎』『地震』『磁石』『蟷螂』がある。」
「蟷螂…?」
港が眉をひそめる。
「鋭い刃物のような両腕を生み出し、獲物を一瞬で切り裂く力だ。」
渋谷は黙って教皇の話を聞いていたが、やがて小さく呟いた。
「そんな奴が、狩り手本部に来たってわけか。」
そのとき、会議室の扉が轟音とともに破壊された。
「やあ、久しぶりだね、教皇。」
余裕に満ちた笑みを浮かべた零が立っていた。彼の背後には、破壊された廊下が見え、その中を炎が揺らめいていた。
「零…!」
教皇の声が震える。
「そんな怖い顔しないでよ。俺、ただ遊びに来ただけだからさ。」零は肩をすくめ、歩み寄る。
南無が即座に立ち上がり、異能を発動させようとするが、零は指を一本立てて静止の合図を送った。
「おっと、無駄だよ。俺がここにいるってことは、君たちの異能じゃ俺には勝てないってことさ。」
彼の目には圧倒的な自信が宿っていた。
「そういえば、教皇。」零が懐から小さな瓶を取り出し、それを見せつける。「これ、懐かしいだろう?」
瓶の中には、奇妙な光を放つ液体が揺れていた。それを見た教皇の表情が凍りつく。
「それは…」
「そう、君の力さ。」零は楽しげに笑った。「もう必要ないかもしれないけど、返して欲しいなら…力づくで奪ってみなよ。」
教皇は答えない。彼の目には、深い苦悩と覚悟が入り混じっていた。
零はさらに近づき、机に手を置いた。
「さあ、狩り手の皆さん。俺と少し遊ぼうか?」