「さあ、お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!」
「うわああぁーん、美樹彦さん! 助けてください!」
「どうしたんですか?」
「あそこにお化けがいるんですよ~!」
「大丈夫ですよ。私が退治してあげましょう」
「本当ですか!?」
「えぇ、もちろんですとも」
「ありがとうございます……ってあれ? どこに行ったのかな? あっ! あんなところにいますよ! 待ってください!」
そう言って駆け出した少女の後を、一人の男がついていく。男は懐中電灯を持っており、その光が辺りを照らしている。
「あーもう、なんでこんな問題解けないんだよ!」
「うぅ……ごめんなさい」
「おい!お前らちゃんと授業聞いてんのかよ!?」
「うるせぇ!俺らは関係ねぇだろ!!」
「そっちこそちゃんとしてください先生」
「いやぁ~今日もいい天気ですね皆さん」
「「「曇りだけどね!!!」」」
「あら、そうですか?」
「おぉっと、先生!!そんなところで寝たら風邪ひきますよ!」
「大丈夫ですよ。私は丈夫なので」
「それフラグじゃ……」
「はいそこ喋らない」
「ぐぬぬ……」
この妙ちくりんな病気の原因は不明とされている。だが、一部の人間にはこう噂されているのだ。
『これは呪いなのだ』と―――
「ふわぁああ」
「おい、悠太。さっきの授業中ずっと眠たげだったけど、どうしたんだよ?」
「いや、最近変な夢を見るようになってさ。それがあまりにもリアル過ぎて怖いっていうかさ」
「へぇ、どんな夢だよ?」
「なんか、女の子が出てきて、周りの景色が森みたいな感じになって、それから……」
「ちょっと待った。それで終わりなのか?」
「うん。それだけ」
「本当にそんな病気があるのか?」と思う人もいるかもしれない。だがこの病気は実在するのだ!なぜなら私がそうだからだ!! そう、私は現在進行形で謎の奇病に侵されているのだ……。
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