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2020年の東京五輪で多数の外国人が訪日するため、国内ではホテルが建設ラッシュであり、また外国語での案内表示の設置が進むなど対応に追われている。

しかし観光庁が目下頭を痛めている課題があった。それは近年世界中で増えているビーガンへの対処である。

ビーガンとは過激派菜食主義者のことであり、菜食主義を自らが実践するだけでなく、精肉店や食肉工場を襲撃して破壊するなどもはやテロリストの様相を呈している。

観光庁が外国人に売り込みたい日本食は、寿司や和牛を始め、鰹節由来のだしや鶏卵を生地に使った和菓子など、ビーガンの襲撃対象になりそうなものばかりだ。

政府からは動物性食品を全く使わない日本食を短期間に開発せよと指示が下ったものの、観光庁や農林水産省が知恵を絞ってもなかなか解決の目処がたたなかった。

そんな折、黒いもみあげの紳士が官邸を訪問した。画期的なビーガン対応食を開発したのだという。閣僚や政府高官が見守る中、紳士が持ち込んだ鉄の箱を開けると、中には肥満体型の中年男と白いもみあげの老人が後ろ手に縛られていた。

「では始めましょう」徐に紳士が二人を鞭打つと、なんと二人は絶叫を上げながらカラフルな物体を肛門からひり出すではないか!

「御覧ください。ニラ、コーン、もやし、ニンジン、グリンピース、すべて植物性の食材です。この親子は水さえ飲ませておけば色々な野菜を生む特異体質なのです。しかも最初から香りと味もついています」

紳士は懐から裁ち鋏を取り出すと、中年男のマイクロペニスをチョキンと切り落とした。血飛沫と悲鳴が上がる。「ほら、なめこも採れますよ。なに、半日もすればまた生えてきます。ふん、今日のは少し塩味が強いな」

紳士いわく、この親子にビーガン用の日本食を生ませ続ければ、少なくとも五輪開催中には十分なビーガン専用食は供給可能とのことであった。渡りに船とばかりに、政府は早速この親子を買い取って大々的に宣伝した。

しかしそれがまずかった。生み出される野菜は素晴らしく美味だったが、生産風景を見たビーガンが「これは豚由来の疑似野菜ではないのか!」と激怒したのだ。

野菜と偽って豚を食わされるという風評はイスラム教徒の逆鱗にも触れてしまい、野菜生産装置として稼働していた親子はISの襲撃に遭いナイフで滅多刺しにされてしまった。

なお、六本木の路上で腹から肝臓をはみ出しながら呻いていた二人は、レバ刺し取り締まりパトロール中の保健所職員に発見され、無事廃棄処分となった模様。

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