テラーノベル
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(朝食時。共同生活を送る一軒家のダイニング。ゆうなが窓の外を心配そうに見ている)
ゆうな
ねぇ、みんな。最近、近所の動物たちが変なの。朝からずっと吠えてたり、猫が怯えて隠れてたり……。何かあったのかな?
りゅうき
(キュウリの漬物を食べながら)
へぇ、動物も悪霊の気配を感じるのか?キュウリは動物にも人気だよな!
れあ
(りゅうきのキュウリをちら見しつつ)
お前のキュウリの匂いが、動物を怯えさせてんじゃねぇの?
かなと
(静かにパンを食べていたが、ふと顔を上げる。彼の表情は、どこか沈んでいる)
……街の感情が、ざわついている。人間だけじゃない、動物たちの感情も、波立っているのを感じる。
すいれん
(かなとの様子に気づき、心配そうに)
かなとくん、どうしたの?顔色が優れないよ?
かなと
いえ……。動物たちの不安な気持ちが、僕にも伝わってきて……。少し、気分が悪いんです。
ひろふみ
(かなとの心を読む。心の声:『動物たちの負の感情が、かなとくんの心に直接響いている……。これは、悪霊の新たな干渉か』)
かずき
(ゆうなとかなとの話を聞いて、不安そうに)
動物さんたち、大丈夫かなぁ……。
クロード(無線)
(リビングのスピーカーから)
皆に緊急連絡だ。佐世保市内の公園で、動物たちが突如として暴れ出す、あるいは極度に怯えるという報告が多発している。同時に、公園にいる人々の感情も不安定になっているようだ。ゆうな、かなと、君たちの能力が鍵になるだろう。かずき、君は上空からの視界でサポートしてくれ。他のメンバーも、現場へ急行してくれ。
【シーン2】 公園の混乱 - 感情の暴走と、悪霊の影
(SE: 犬の吠え声、猫の威嚇、鳥のけたたましい鳴き声、人々の悲鳴と怒号)
(午後。佐世保市内の大きな公園。公園は混乱状態に陥っている。犬が飼い主に牙を剥き、猫が木の上に逃げ惑い、鳥が異常な鳴き声で飛び交っている。人々も、些細なことで口論を始め、パニック状態になっている)
飼い主A
うちの犬が、こんなに暴れるなんて!どうしたの、ジョン!
通行人A
うるさい!この犬、なんとかしろよ!
(公園の中心に、黒い靄が漂っているのが見える。悪霊(感情増幅型)の仕業だった)
ゆうな
(動物たちの様子を見て、悲痛な声で)
みんな、苦しんでる……!何が起こってるの!?
かなと
(動物たちの感情の波に、顔を歪ませる)
これは……悪霊が、動物たちの『恐怖』や『怒り』の感情を、無理やり増幅させている……!その感情が、人間にも伝染しているんだ!
かずき
(空中にフワリと浮かび上がり、上空から公園の様子を見る)
うわぁ!みんな、喧嘩してるよ!
悪霊(感情増幅型)
(感情の波に乗って、低い声で)
……争え。憎め。お前たちの負の感情が、我らを強くする!
(悪霊は、さらに感情の波を広げ、公園全体を負の感情で満たそうとする。犬はさらに暴れ、猫はさらに怯え、人々はさらに感情的になる)
ゆうな
(一匹の怯える猫に近づき、話しかける)
ねぇ、どうしたの?何が怖いの?
公園の猫
(ゆうなの声に、一瞬だけ怯えが和らぐが、すぐに悪霊の感情の波に飲まれ、威嚇の声を上げる)
シャアアアアアア!
かなと
(ゆうなの隣で、猫から放たれる負の感情の波に、苦しそうに顔を歪める)
この感情の波は……強すぎる!
【シーン3】 感情の渦中 - 動物の言葉、心の変化
(SE: 混乱の音、悪霊の唸り声)
(公園の混乱は続く。悪霊は、感情の波をさらに強くし、能力者たちにも精神的な攻撃を仕掛けてくる)
りゅうき
(飛んでくるベンチを念動で弾き飛ばす)
くそっ!なんかイライラする!
れあ
(地面を破壊し、悪霊の足元を崩そうとするが、悪霊は感情の波に乗って素早く移動する)
チッ!動きが読めねぇ!
ひろふみ
(悪霊の心を読む。心の声:『狙いは、動物と人間の感情を完全に支配し、この街を絶望で満たすことだ!』)
ゆうな
(悪霊の感情の波に飲まれそうになりながらも、必死に動物たちに語りかける)
みんな、大丈夫!怖くないよ!悪霊の言葉に、耳を貸さないで!
(ゆうなの声は、悪霊の感情の波に阻まれ、動物たちには届きにくい。動物たちは、依然として混乱している)
かなと
(ゆうなの隣で、動物たちの負の感情に耐えきれず、膝から崩れ落ちそうになる。彼の能力は、感情を操るがゆえに、負の感情に敏感だった)**
うっ……!この感情の波は……!
かずき
(上空から、かなとの苦しむ姿を見る)
かなとくん!
すいれん
(かなとに駆け寄ろうとするが、人々の混乱に阻まれる)
かなとくん!
(その時、ゆうなは、一匹の老犬が、悪霊の感情の波に逆らって、かすかに「助けて……」と心の中で訴えているのを感じ取る。それは、悪霊の支配から逃れようとする、微かな「希望」の感情だった)
ゆうな
(老犬に駆け寄り、その頭を撫でる)
聞こえる……!あなたの声が聞こえるよ!みんな、本当は戦いたくないんだよね!?
(ゆうなは、老犬の心に深く潜り込み、悪霊の感情の波をかき分け、その「希望」の感情を読み取る。そして、その希望の感情を、自分の声に乗せて、周囲の動物たちに語りかける)
ゆうな
(動物たちに向かって、強く、しかし優しい声で)
みんな、思い出して!本当は、人間と仲良くしたいんだよね!?本当は、怖くないんだよね!?
(ゆうなの言葉は、動物たちの心に直接響き渡る。悪霊の感情の波に飲まれていた動物たちが、一瞬だけ、動きを止める)
悪霊(感情増幅型)
(ゆうなの能力に、わずかに動揺を見せる)
グゥ……!
かなと
(ゆうなの言葉と、動物たちの心の変化を感じ取り、ハッとする。そして、自分の中の負の感情を振り払い、立ち上がる)**
……ゆうなさん。ありがとう。
(かなとは、自分の能力を最大限に発動させる。動物たちの心に、そして人々の心に、ゆうなから伝わった「希望」の感情を、増幅させていく!)
かなと
(強く、しかし穏やかな声で)
恐怖は、希望に変わる!怒りは、安らぎに変わる!
(かなとの能力が、悪霊が広げた負の感情の波を打ち消し、公園全体に「安らぎ」と「希望」の感情の波を広げていく!動物たちは落ち着きを取り戻し、人々も冷静さを取り戻していく)
悪霊(感情増幅型)
(感情の波が逆流し、苦悶の叫びを上げる!その体が、黒い靄となって揺らぎ始める)**
飼い主A
(暴れていた犬が落ち着き、頭を擦り寄せてくるのを見て)
ジョン……!
通行人A
(口論していた相手に、冷静に)
ごめんなさい……私、どうかしてたみたい。
【シーン4】 感情の調和 - 空からの援護、そして勝利
(SE: 混乱が収まる音、穏やかな風の音)
(公園の混乱は収まり、動物たちも人々も落ち着きを取り戻していく。悪霊は、感情の波を失い、弱体化した姿で逃げようとする)
かずき
(上空から、悪霊の動きを見る)
悪霊、逃げようとしてるよ!
クロード(無線)
(声のみ)
かずき、悪霊の逃走経路を予測し、他のメンバーに伝えろ!
(かずきは、上空から悪霊の動きを正確に把握し、無線で他のメンバーに伝える)
かずき
(空中で身を翻し、悪霊の逃走経路を指差す)
あっちだよ!みんな!
(他の能力者たちも、かずきの指示に従い、悪霊を追撃する)
りゅうき
(悪霊めがけて、巨大なゴミ箱を念動でぶつける)
くらえ!動物たちの平和を乱すな!
れあ
(悪霊の体を破壊するように、渾身の一撃を放つ)
とっとと消えろ、この感情泥棒が!
(ゆうなとかなとは、悪霊の周囲に「安らぎ」の感情の波を集中させ、悪霊の動きを完全に封じる)
ゆうな
(悪霊に向かって)
もう、動物たちを苦しめないで!
かなと
(冷静に)
あなたの感情操作は、もう通用しない。
(悪霊は、逃げ道を失い、感情の波も失い、断末魔の叫びを上げ、黒い煙となって消滅する)
ゆうな
(ホッと息をつき、公園の動物たちを見る。動物たちは、穏やかな表情で、ゆうなを見つめ返している)
みんな……よかったね。
かなと
(ゆうなの隣で、穏やかな表情で)
ええ。あなたの能力と、僕の能力が、感情の波を調和させたんだ。
かずき
(地面に降り立ち、笑顔で)
僕も、少しは役に立てたかな?
すいれん
(笑顔で、ゆうなとかなとの手を握る)
みんな、素晴らしい連携だったね!動物たちも、きっと喜んでるよ!
(公園には、再び穏やかな時間が流れる。動物たちは自由に遊び、人々は笑顔を取り戻していた。ゆうなとかなとは、互いに顔を見合わせ、その間に、確かな信頼と理解が芽生えていた)