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メモにあったように地階にある駐車場で待っていると、程なくして彼が現れた。
「乗ってください」
と、助手席側のドアが開けられる。
「どこに、行かれるんですか?」
車に乗り込んで、やや恐る恐る尋ねてみると、
「私の部屋へ……。少しあなたと話がしたいのです」
至極淡々とした口調で、そう返された。
「はい……」と、短く頷く。どんな話があって……と勘ぐってみるが、相変わらず取り澄ましたようなその表情からは、何も読み取ることはできなかった。
車はすぐにマンションに到着し、エレベーターで彼の部屋のあるフロアへと上がる。
いつもならそこでアプローチの一つも仕掛けてきていたのに、ドアを開けるまでの間、彼は一言も喋ることすらなかった……。