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季節の巡り変わりと共に変化していた俺は、馬鹿だった。春が訪れ、夏が顔を出す。秋が始まりを告げ、冬が終わりを告げる。
それと同時に俺も変化しているのだと錯覚していた。水を斜めから見た時のように俺は”像”。すなわち俺じゃない誰かを見つめていた。
”像”が変化すれば”俺”も変化するのか?その質問は『1+1=2?』と問いているのと同等だ。中学一年生程の理科を思い出す。
俺らが見ている世界は光を通ってできている。その光の先に本物があると当たり前のように信じてきた人間。それにまんまと引っ掛かった俺。
馬鹿だ。馬鹿。
だってほら見てみろよ。あいつらは俺を、裏切ったんだ。
”光の道筋”って知っているだろうか。
光は普通直線的に進んでいくが例外はある。それは透明な物体、または水だ。今回はわかりやすく水で説明しようか。
とあるところに水槽がある。その水槽のど真ん中に人形を置こう。その水槽の斜めから人形を見つめてみる。そこには何の変哲もない人形がそこにただ置かれてあるだけ。
しかし何か棒のようなものでその人形を突いてみるとどうだろう。なぜか、棒が当たらないのだ。自分が見たままに棒を突いているはずなのにだ。なぜかというと、自分が見ている人形はただの”像”と呼ばれるものだからだ。簡単だろう?見ているものが本物でないのなら、棒が当たらなくても不思議ではないのだから。
これは中学一年生の理科で習う。俺はこのことを知識として頭に入れてはいたが、自分ごとには考えていなかった。
そしてこの”光の道筋”と同じく、とあることを授業で学んだ。自分が見ている世界は光があるから見えている、と。光がなければ暗闇だろう?そういうことだ。当たり前で常識のことだ。
そう、だから俺の世界が暗闇なのもそういう理由なのだ。
重い瞼を開き、目に映ったのは素っ気のない天井。
光という光は遮られていて何も見えない。いや、この世界に慣れてしまったから夜目が効くため何も見えないということはないが。いつも通りで当たり前の日常を繰り返す。朝ごはんとも言えない食事を無理やり腹に入れ込んで、仕事道具をもち、今日も仕事へ行く。扉を開けるとただの路地裏。暗く、全身が黒い俺には最適だ。今回は依頼が来たのではない。前回の依頼で鍵が開かなかったため専門の人に頼みに行くのだ。自分もある程度の知識はあるが、専門の者に勝ることはない。今回の鍵はだいぶ複雑な造りでそれ如きに時間もかけられない。だから今回は専門の者に頼みに行くのだ。
カランカラン。
扉につけられた鐘が鳴る。路地裏で昼とはいえど暗い。
「どうも〜、いらっしゃっせ」
そう、俺を迎え入れたのは緑色の髪色をした怪しげな男だった。
「依頼をした”美園”という者ですが」
「あぁ、わかりました。そこに座って待っとってください」
男は関西の方出身なのか、関西弁を話していた。俺は言われた通りに座る。この店には監視カメラが1つ。店の近くに大きな道があったが、反対方向を走れば問題ない。何かあっても大丈夫なはずだ。
「では、今回のご依頼の話ですね」
「あぁ、依頼書を送った通り開錠して欲しい。できるだろう?」
俺はわざと挑発するように言って見せた。
「えぇ、勿論、、、、、、。ですが問題がありまして」
「なんだ」
「ご依頼が被ってしまっているんですよ」
そう男は言った。困ったもんですよ。とでも言うように薄笑いを浮かべながら。
NEXT 12月8日
コメント
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某シャンティニキやん 。 … 某方言キメラニキの方がいいか??()