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#異世界転移
花月夜れん
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設楽理沙
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耀聖(ようせい)
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耀聖(ようせい)
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大きくザワつく朝議の間。
集まった官吏たちが一斉に話し始めたために騒然としている。
皇帝が今しがた、煜峰が浄身していないことを皆に伝えたからだった。
「陛下! これは大問題ですぞ! 刑が執行されていなかったことを何年も隠していただけでなく、その上堂々と陛下の御前に姿をみせていたなど前代未聞でございます」
「暁明皇太子が偽装したということで間違いないのですね?」
「皇太子の資格を剥奪すべきです」
「指示をなさった皇后様にも同様の罰を!」
口々に訴える官吏たちの先頭に立つように、胡中書令が皇后に話しかける。
皇太子と皇后の位の剥奪。
彼にとっては思いがけず降ってきたチャンスだ。どちらも胡家が取れる。見逃すわけがない。
「皇后様、今の話は皇后様からのご指示だったというのは本当なのですか?」
「ええ、そうです。私が刑部の実権を握っていた暁明に命令し、陛下に嘘の報告をさせたので御座います」
「皇后様が慈悲深い御方だということは国に居る誰もが知るところではありますが、何故またそのようなことをされたのですか? 陛下の下した処罰を蔑ろにしたばかりか、恐れ多くも欺くなど。まさか可哀想だったからなどという理由ではございますまい」
「私からは何も申開きすることはございません。暁明と煜峰はただ私の命令に従っただけ。全ての負いはこの私にあります」
皇后は全ての責任を自分のものとし、暁明と煜峰を救おうとしている。
その姿をみるとやはりあの時、たとえ冤罪であったとしても煜峰は刑を受けるべきだったのではないかと思えてくる。
「陛下、してどのように処分を下すおつもりですか?」
「今の皇后の言葉を聞き、二人にも言いたいことがあるだろう。暁明、何か言うことは?」
「はっ」と短く返事をした暁明皇太子は、恥ずべきことは何もしていないと背筋を伸ばした。
「陛下を欺いたことは事実です。煜峰の男根を切り取ったと偽り、別の者の男根を陛下の下へと持っていくよう指示を出したのは私です」
「なんと」と声を上げる官吏たちに、皇太子の声が響く。
「ですが私は自分の行いを全く後悔をしておりません。弟は宮刑を受けるべき男ではないと確信しておりました故、たとえ陛下の命に背いても私の判断は正しかったと胸を張って申し上げます。皇后様から言われなくとも私は恐らく……いえ、間違いなく同じことをしていたでしょう」
「兄上……」
「さあ、煜峰。お前も皆に言ってやりなさい」
煜峰が後宮の妃嬪に手を出したとされた時でさえ、これほどまでの罵倒は浴びなかった。
口汚く罵る声が至る所から聞こえてくるが、煜峰もまた背筋を伸ばした。
「皇后陛下、そして暁明皇太子の話を聞き、やはり私は宮刑を受けるべきだったのではないかと今、激しく後悔をしております。たとえ私になんの負い目もなく無実であっても、御二人を巻き込むべきではなかったと」
「「煜峰!」」
皇后と皇太子の声が重なった。
二人にはこれ以上の迷惑はかけたくない。一刻も早く事態を収拾させることが先決だ。
「暁明皇太子、そして皇后様の言葉に甘えてしまった私が浅はかで愚かっだったのです。どのような罰でも受ける所存にございます。お望みであれば宮刑に処されても構いません」
麗霞ならきっと、煜峰《ユーフォン》が皇族の身分を剥奪され宮刑に処されたとしてもそばに居てくれる。
そう信じている。
「煜峰殿下はもちろん宮刑を受けるべきでしょう。当時は陛下のご厚情により宦官として宮廷に残ることをお許しになられましたが、今回はそうはいきますまい。身分を剥奪し、皇宮から去るべきかと」
皇后・皇太子派が苦々しげな顔をする中、胡一族に付く陣営から「そうだ」と賛同する声が上がり、中書令は勢い付いた。
「さらに暁明皇太子ですが、身内贔屓をし、公平な判断を下せない者に皇太子の位は相応しくないのではないかと思いますが」
「胡中書令よ、朕がいつ其方に朕の代弁者となり処罰を下すよう申し付けたのだ?」
いつもなら胡氏の肩を持ち意見を尊重するはずだが、皇帝は冷ややかな声で話しかけた。
「あ……大変失礼致しました、陛下。身内に処罰をお与えにならなければならない陛下のことを思う余り、差し出がましい口を聞きました。お許しください」
恭しく頭を下げた胡中書令の顔が小さく歪んだ。
この男はまだ皇帝と皇后の仲が修復したことも、煜峰とのわだかまりが解けたことも、全く気付いてはいない。
「確かに三人が朕を欺いた事は変えようのない事実。だがしかし、そのことによって朕が救われている事もまた事実である」
「――?!」
面を上げて怪訝な顔をしたのは胡中書令だけではない。
どういうことかと、それぞれが皇帝の次の言葉を待っている。
コメント
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第51話、読み終わりました。朝議の場の緊張感がひしひしと伝わってきて、息を詰めて読みました。皇后が全ての責任を負おうとする姿も、暁明皇太子が「後悔していない」と背筋を伸ばす場面も、それぞれの覚悟が胸に迫ります。そして煜峰が「宮刑を受けるべきだった」と自らを責めるシーンには、やるせなさと同時に、彼の誠実さがよく現れているなと感じました。そんな中で皇帝が初めて胡中書令を制した——ここで流れが変わる予感がしますね。この三人の絆がどう守られるのか、続きが気になります。