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40 ◇一緒に暮らし始める
「本当は言いたくなかったんだけど、実はあなたが刺されたって聞いて、
最悪死んじゃうかもしれないって思った時にね、私めちゃくちゃ動揺して
しまったんだよね。
腹立たしくて憎んでたはずなのに……死なないでーって思ったの。
やり直しができるのか自信はないけど、私もやってみる価値はあるのかなと
思ってる」
ふたりはそのような話し合いを重ね……
この日のふたりの話し合いで、互いの結婚生活を再びやり直すことになった。
それで以前滉星から出ていた提案通り、お互いの勤務先の中間地点で
家を探し、そして同居が始まった。
思っていた通り、ふとした折にひまりが精神的に不安になることがあった。
そんな時、滉星が抱きしめてくれた。
夜は意識を手放すその時まで手を繋いてくれたり。
そんなふうに、独り暮らしの時には気持ちが安定していたのに、同居を
はじめるとひまりが不安定になり出し、本人が一番困惑することに……。
◇ ◇ ◇ ◇
そして……
めったにないことだったが、仕事の付き合いで酒を飲んで
帰ったある日のこと、そのまま眠ってしまった夫。
……顔を見てみると、泣いていたのか、涙の跡がついていて
ひまりはすごく驚く。
泣くほど苦しめているのはたぶん自分。
自分の前では平気なふうを装い、自分の気持ちが不安定に
なったり荒ぶれたりするとやさしく慰めてくれるけど人間だもの、そりゃあ
なかなか元の精神状態になれない私を前に気持ちも沈むよね。
ストレス半端ないよね。
『やり直すって決めたのは自分なのに、いつまで経っても気持ちが
安定しなくって、ごめんね』