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「!」
驚く鷹夜様に照れ笑いをする。
ふと視界の端に割れたガラスを見つけて、そこに映る自分の姿を見てちょっぴり驚いた。
鷹夜様の言う通り、私の髪はさらに長くなってふわふわと宙に浮いていた。まるで水中に揺らぐようだ。
さらに頭から狐みたいな立派な耳と、腰の辺りから長く大きく。金色に光る豪華絢爛な尻尾が九つ、ゆらゆらしていた。
夜でも私の周りだけ薄ぼんやりと明るい。
目立つ姿だなぁと思った。
あぁ、これが|私《玉藻》の本当の姿。
これこそ私自身の力。九尾の狐なんだとわかった。
驚いている鷹夜様に声を掛ける。
「あ、私悪いことをしませんよっ。鷹夜様やここにいる皆様の味方ですっ」
信じてと、鷹夜様の周りに居る人達に、声を掛けるとこくこくと誰もが頷いてくれて一応安心する。
「それに九尾でも、生まれたてみたいなモノだから、実質は尻尾二本分の力ぐらいしかまだ戻っていません。ごめんなさい。でも、これなら土蜘蛛を抑えこめます」
鷹夜様は私の言葉を上手く飲み込もうと、沈黙を守っていた。
無理もないと思う。いきなり私が九尾になってしまうなんて、誰しも夢かと思うだろう。
その間に素早く屋上を見ると、土蜘蛛は私が最後に放った炎にまだ手こずっているようだった。それでも爛れていた体の表面は、何事も無かったように戻りつつある。
建物の屋上はいつの間にか崩壊して、屋根は沈み込んでいる。土蜘蛛は糸を周囲に張り巡らせ態勢を整えているように見える。
もう少しで土蜘蛛は動き出すだろう。
しかし、ここで決着をつけるわけにはいかない。病院の周囲には私の炎で、元気になった人達が大勢いた。
やはり、ここではなく。
人がいない場所に土蜘蛛を誘導しないといけない。そう思っていると、ずいっと鷹夜様の横に髪が白黒の洋装姿の人が出てきた。
「待て待て! もう驚きが連続して、玉突き事故起こしてるわ。環というのは鷹夜の嫁で……それがいきなり現れて、僕好みかと思えば、九尾とか言うし。むしろ──その神々しさは、吉祥天か女神の間違いちゃうんか」
吉祥天に女神。
そんな風に見えるのかと思った。つい、そうだったらいいなと思いながら首を横に振った。
「いいえ。私は九尾の狐です。でも、鷹夜様はそれも全て受け止めて下さいました。だから私は九尾の力を使ってでも、土蜘蛛を止めたくてここに居ます」
「止めたい?」
「はい。この命に変えても」
じっと私を見る洋装姿の人。
そして、切れ長の瞳をふっと細めた。
「なんや。ただのエエ女やな。わかった、その覚悟、信用したるわ。僕は梔子真守。土蜘蛛をどうやって倒すのか、今すぐにその方法を教えて貰おうか」
梔子様の言葉に、鷹夜様が何かを言いそうになったけど、梔子様が鷹夜様の口を素早く押さえ込んだ。その様子にびっくりするけど、私の考えをまずは話そうと思った。