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眠い。眠いがすぎる。
なんで俺はここにいるんだ。あれからまだ1日しか経っていないのに、なんで俺はこの橋でえとさんをまっているんだろうか。確かに今日は暇だった。まだ高校からの課題も出されていないから、なにもすることがないのはそうだ。でも、今は10時。たしか家を出たのは8時のはずだ。俺はここで2時間何をしていたんだ??
もう帰るか。もう少しだけ待ってみるか。あと少しだけー
それが延々と繰り返されているだけだ。
どうしようか、と結局動けずにいると、「たっつんくん?」と声をかけられた。
「えとさんっ、!」
考えるより先に声が出てしまった。
「おはよー、たっつんくん」
今日も相変わらずえとさんの個性が溢れ出た服を着ている。
「今日も、その、ええ服着とるな、!似合ってる」
急に馴れ馴れしすぎたか。引かれていないといいけど。
「ほんとー?ありがと」
そう言ってにこっとえとさんは微笑んだ。
相変わらず純粋で、イケメン(まあ、意味はイケてるメンズ、やけど)、という言葉が似合うようなえとさんは、他の誰にも無い魅力を持っている。俺には、それが羨ましい。いや、それに憧れている。
「今日は少し、話そっか。付いてきて」
そう言ってえとさんは海辺の砂浜へと降りていった。俺もその後に続く。
そこには、俺が見たことがない景色が広がっていた。特別綺麗な景色ではないし、なによりここには何回も来たことがあるけれど、俺はこんなに良い景色を知らなかった。えとさんと一緒に見る景色だからだろうか。それとも、俺の何もない心にえとさんという色が加えられたからだろうか。
「私、ここすっごい好きなの、!」えとさんはそう言ってこっちを見た。
「…確かに、綺麗や」
「だよねっ!」
「ここにいるとさ、なんか全部を受け入れてくれるような感じがして、好きなんだよね」
たしかに、それはわかる気がする。俺と、俺の嘘まで、全部受け入れてくれそうな景色だ。
「俺の嘘も、ここに預けて消えてくれへんかな…」
「えっ、?」
「あ”…いや、これはその」
しまった!!この景色に飲まれてつい言ってしまった!!
もうこうなったら言うしかないか…ッ
「…こんなに鮮やかなえとさんに言うのは失礼かもしれへんけどさ」
「俺、服でも食べ物でも音楽でも、好き、って分からへんねん」
えとさんに俺の気持ちを悟られないように、見られないように、そう呟くように言った。
「その服、たっつんくんが好きでしてる服じゃなかったの、?」
「ああ、ちゃう」
「そっ…か」
しばらく沈黙が流れた。えとさんに迷惑をかけてしまった。
やっぱり言わない方が良かったんかなぁ。
「じゃ、探しにいこっ!!」