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omr side
「っえ…ぁ、わかぃ…ッ、//」
「…大至急で来いって言ったのにそれかよ…」
目の前にいる若井に呆れた顔で言われた。ほんの少し僕の瞳には涙が浮かぶが、気にしないことにした。
「……欲求不満なんですー、お前と違って!!」
「…逆ギレ?怖い怖い…」
若井が下半身裸の僕の隣に座ってきた。若井はわざと目を合わせずに僕に話し掛ける。
「…で、話って?」
「……あ、そう…ふまくんのライブ当たったんだー!!」
僕が自慢げにそう言うと、若井は目を見開いて見つめてくる。
「…うぉ、おめでとうじゃん!!」
他人事じゃなくまるで自分が当選したみたいに喜んでくれる若井。
「あ、それだけだからもう帰ってー。」
「…え、あ…はい」
若井が玄関の扉を閉じた途端、僕は自分のまだ硬いモノに触れた。
触れただけでびくっと体が跳ね、奥が凄く疼く。
あー、これ…本当にやばいかも。
ライブ1週間前。
1週間前から自分の顔立ちも最高にして過ごす。
菊池風磨と喋れたりしないかな、とほんの少し期待している自分が居た。
僕はライブのチケットを何度も確認し、予定を調整しながら緊張や他の感情で常にソワソワ。
仕事や日常の合間に、SNSで風磨の最新情報をチェックする。
「1週間後、絶対に会える」その想いが胸を高鳴らせる。
ライブ当日の服も決めて、ホテルの予約を取る。
そしてついに前日。
家じゃなく、ホテルで一夜を明ける。
荷物の最終チェックをし、ライブ当日の服をホテルのベッドに広げる。
鏡の前で、 何度もヘアセットの練習をする。
少しだけでもいいから、自分を見て欲しい。
「……明日…本当に会えるんだよね…」
小さく呟いたその言葉に、ぎゅっと胸が締め付けられる。
マンツーマンみたいに2人きりで会えるわけではない。でも、会える。
同じ空間で、同じ空気を吸える。その奇跡に、今日もまた眠れそうにない。
当日、アラームが鳴るよりも先に瞼が自然と開いた。
時刻は五時半。いつもだったら二度寝するはずなのに、今日は違う。
布団で小さく息を吐く。 緊張と高揚がごちゃまぜになって、胸がじんじんしている。
何度もイメージしてきた、この日がとうとう来た。
ホテルのカーテンを開けると、都会の空がほんのり明るくなり始めていた。
天気は晴れ。菊池風磨が言ってた晴れ男ってほんとなんだな、なんて思いながら朝の空を見上げる。
顔を洗って、スキンケアを丁寧にする。そして、昨日広げておいた服に袖を通す。
そうして何度も練習してきたヘアセットをする。少しだけでも可愛くなりたくて、指先が慎重になる。
「…いつもより、可愛いかな……?//」
姿見で自分見て首を傾げる。
時間も迫ってきていることだから、すぐ外を出て、駅の改札を向かった。
コメント
5件
慎重になるとか可愛すぎだろ! まじ最高一生読んでたいw ドキドキしてんのもかわいい! でもそんくらい嬉しいのか! 読んでるこっちもなぜか嬉しい!
若井、優しすぎるだろ~、、!! もっくんが、風磨くんのことがとても大好きなことがよく伝わる回でした、、! 続き楽しみ~、、! ほんと、好きだわ