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渡会雲雀side
「⋯今日も、無理か」
朝起きて、俺が確認すること。
それは俺の世界に色があるかどうか。
部屋を1周見渡して、
何か色を拾わないか確認する。
まぁ、1度も色を確認できたことは無いけど。
そして、今日もダメ。
一人暮らしを初めて早1年。
ある程度生活にも慣れてきて、
朝の忙しい時間にも余裕ができた。
テレビを付けて、
まずコーヒーを飲むのが俺の日課。
そのテレビでさえ、俺には白黒に見える。
⋯いつの時代?って感じ。
だけどこれが俺の普通だし、
もう慣れたけどさ。
俺と同じ病気のやつとか絶対いないよ。
聞いたことないし、なんなら会ったことも無い。
⋯なんだっけ⋯あ、あれだ。
色彩消失病⋯とかいうやつ。
物心ついた時から、
俺の世界は白黒だったから
それが当たり前だと思ってたんだけど
「⋯色、分からないの?」
そう母親に言われて、頷けば
「本当⋯なの」
そう言われて。
そこからだったかな。
親が2人とも、俺を見捨てたのは。
どれを見ても、
黒か白にしか見えない俺は必要ないんだって。
他の家族には当たり前にできてる
「これ、何色?」
が出来ないから、
つまらないのかと思えばそうじゃないらしい。
⋯俺は、2人からしたら欠格品らしい。
すぐに弟を作られて、
産まれてからは2人とも弟にベッタリ。
俺になんか興味すら示さなくて。
それでも、教育だけは受けさせてくれて
保育園には行った。
だけど、そこでも俺は
「変な子」として皆から遠ざけられる存在になって。
「いろ、わかんないのー?」
「これはー?」
「えー!これ、あかだよー!へんなのー!」
そう言われる毎日。
その時に気づいたんだよね。
俺の世界は、普通じゃないことに。
色があることが普通で、
無いことは普通じゃないって。
この病気の嫌なところって、言いたくないのに
言わなくちゃいけない時が来るってこと。
小学生になった時も、
色が分からなくてからかわれて。
嫌になって不登校になりかけたことも
あったくらい。
だけどそれも低学年だけで、
学年が上がるにつれそんなことは
皆忘れていく。
⋯のと同時に俺には友達がいなかった。
常に1人。
それは家でも同じだから特に、
嫌だとは感じたことは無かったけどね。
それから中学生になって、
そこでもまた俺は1人で過ごして。
家では、俺はいない存在で。
中学を卒業するのと同時に家を出て、
一人暮らしを始めた。
親戚のおじさんの力を借りて。
そんなおじさんも、
半年前に亡くなってしまって
本当に俺は1人になった。
「⋯後、3年⋯か」
この病気の介なところは、余命があるって事。
20歳までに、運命の人?に
出会わないと死ぬんだって。
怖くね?
しかも、同じような病気の人限定。
だから、病院行ったところで治療法は無し。
20歳までに、俺と同じような病気の
俺を好きになってくれる人が
現れるのを願うだけ。
まぁこれも全て、ネットの情報だから
本当かどうかは知らないけど。
⋯あ、そうそう。
この病気、自分が死ぬってなった時に
色が見えるようになんだって。
⋯無駄じゃない?
もう死ぬだけなのに色が分かっても
悔いしか残らないよね。
なんて考えながらコーヒーを飲んでいれば、
ふと思い出す。
「やべ、今日入学式じゃん」
バタバタとコーヒーカップを片付けて
制服を着て髪の毛をババっと整えて家を出た。
今日は高校の入学式で、
2年の俺らは在校生として駆り出されてて。
めんどくさ。なんて思いながら
学校までの道をゆっくり歩いていれば
「⋯あの!」
なんで突然話しかけられて、
ビクッと体が反応する。
「⋯っくりした⋯はい?」
振り向けば俺と同じ学校の制服を来た
男子に話しかけられてて。
「同じ⋯高校ですよね?迷っちゃって⋯!」
迷う⋯?ここで?
ここ真っ直ぐ行って、
突き当たりの右に行くだけなんだけど。
とか思いつつ、新入生だろうし
遅刻するのはヤバいかなんて思って
「⋯一緒に行く?」
そう言えば
「え!いいんですか?
︎︎ありがとうございます!」
なんて途端に笑顔になって。
隣に並んできて。
これで高一?って位身長がデカくて
俺もでかい方だとは思ってたけど。
特に話さないまま、学校に着いて
「⋯体育館はあっちな」
体育館の場所だけを教えて、
俺は玄関に向かう。
「ありがとうございました!」
なんてバカでかい声が聞こえて
視線が一気にこっちを向くから
恥ずかしくなってそそくさと教室に向かった。
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レア
M/えむ。♫🦎