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1 終音
もう……動けないや……
ゴーン……ゴーン……
遠くで鳴っているはずの音が、
なぜかすぐそばで響いている気がした。
……ねむい……
「……る」
「……る」
なんだろう…なにか ……聞こえる?
「…る」
このこえ…ゆきとくん……?
「はる」
ゆっくりと、目をあける。
「はる!」
ぼやけた視界の中に――
泣いている少年と、その家族がいた。
ゆきとくん?
なんで泣いてるの?
……ねぇ、あそぼうよ。
あ……でも、ちょっとねむいや……
「……はる」
そっと……震える手で頭を撫でられる。
「……ごめんね。今までありがとう……」
ゆきとくん?
なんであやまるの?
なでなで……きもちいいよ……
「はる……大好きだよ……」
うれしいなぁ……
わたしも……
……ゆきとくんが
………だい……す…
ぽたり
少年の涙が
うさぎの顔に落ちる。
その時――
うさぎは、息をしていなかった。
遠くで聞こえていた鐘の音。
もう――
その音は、聞こえなかった。
竜崎