テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,370
りとがみ
「「ただいま」」
「…おかえりなさい」
千愛の英語教室へお迎えに行ったのは仕事帰りの夫で、いつも通り一緒に帰ってきた。
話は千愛の寝たあとね…
「千愛のリクエストだった、うどんにしたわよ」
「ヤッター!かばん置いてくる」
ダッダッダッ……
千愛が階段を駆け上る音と一緒に聞こえたのは夫の声で
「うどんと何?」
シャツを脱ぎながら、通常運転のようだ。
「うどんだけ。デザートは、柿があるけど?」
「うどんだけ?」
夫が、一食分の麺だけでは夕食に足りないことは重々知っている。
でもね…そんなに不機嫌な顔をされたって
「作っただけでも褒めて欲しいくらいのことがあって、作れませんでした」
私は、不機嫌さに怪訝な表情をプラスした夫を真っ直ぐに見た。
「うどんだけで褒めろ?」
腹が立ってきたわ…
ダッダッダッ……千愛の降りてくる足音を聞きながら
「佐野キミって人はお友達?」
と、夜を待たずに言ってみた。
「……はっ?」
「聞こえなかった?」
「いや……っ……」
「ママ、手、洗ったぁ。うどーん!」
「あとはネギを乗せるだけよ。自分でやる?」
動揺しまくって、脱いだシャツで顔をゴシゴシ拭く夫との会話を切り上げて、千愛に顔を向けた私に夫の視線が刺さるのを感じる。
「パパはうどんが嫌なら、困ったわね」
と、お箸を並べる。
「いや…嫌なことないから、食べるから…千愛、パパのにもネギ乗せておいてっ…」
ガタガタッ……
椅子に足の小指を引っかけたのか、痛そうにしながらも慌ててシャツを洗面所に持って行った夫は…
夜の10時になった今、その椅子に神妙な顔つきで座っていた。
「佐野キミって誰?」
「誰…?」
「私がパパに聞いているんだけど?」
「…その名前がどこから出る?」
「私の質問に答えて欲しいんだけど?誰?」
「そんな知り合いいたか…?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!