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「「ただいま」」
「…おかえりなさい」
千愛の英語教室へお迎えに行ったのは仕事帰りの夫で、いつも通り一緒に帰ってきた。
話は千愛の寝たあとね…
「千愛のリクエストだった、うどんにしたわよ」
「ヤッター!かばん置いてくる」
ダッダッダッ……
千愛が階段を駆け上る音と一緒に聞こえたのは夫の声で
「うどんと何?」
シャツを脱ぎながら、通常運転のようだ。
「うどんだけ。デザートは、柿があるけど?」
「うどんだけ?」
夫が、一食分の麺だけでは夕食に足りないことは重々知っている。
でもね…そんなに不機嫌な顔をされたって
「作っただけでも褒めて欲しいくらいのことがあって、作れませんでした」
私は、不機嫌さに怪訝な表情をプラスした夫を真っ直ぐに見た。
「うどんだけで褒めろ?」
腹が立ってきたわ…
ダッダッダッ……千愛の降りてくる足音を聞きながら
「佐野キミって人はお友達?」
と、夜を待たずに言ってみた。
「……はっ?」
「聞こえなかった?」
「いや……っ……」
「ママ、手、洗ったぁ。うどーん!」
「あとはネギを乗せるだけよ。自分でやる?」
動揺しまくって、脱いだシャツで顔をゴシゴシ拭く夫との会話を切り上げて、千愛に顔を向けた私に夫の視線が刺さるのを感じる。
「パパはうどんが嫌なら、困ったわね」
と、お箸を並べる。
「いや…嫌なことないから、食べるから…千愛、パパのにもネギ乗せておいてっ…」
ガタガタッ……
椅子に足の小指を引っかけたのか、痛そうにしながらも慌ててシャツを洗面所に持って行った夫は…
夜の10時になった今、その椅子に神妙な顔つきで座っていた。
「佐野キミって誰?」
「誰…?」
「私がパパに聞いているんだけど?」
「…その名前がどこから出る?」
「私の質問に答えて欲しいんだけど?誰?」
「そんな知り合いいたか…?」