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(ああ……どうして)

目の前に広がる凄惨な光景に、ただ呆然と膝をつくことしか出来なかった。

『ねぇ……どうすればいい?』

私の肩を抱く腕に力を込める親友に、かける言葉なんて見つからない。

(私は……私たちは一体何をしていた?)

なぜ忘れていた?なんでこんな大事なことを。

(違う、私が望んでいたことは)

こんな残酷な結末じゃなかった!もっと平和的で幸せなはずだった。私にとって彼は特別だったし、彼にとっても私は特別な存在だったはずだよ!私がこんなことを言い出したって信じちゃくれないよね。

彼の死は唐突すぎたんだと思うわ。突然のことだったし、誰にも止められなかったことでしょうね。でも、あんなふうに終わるなんて、本当に悲しかったし悔しかった……どうして彼が死ななきゃいけなかったのかしらね?私たちだってそれなりに幸せに暮らしてきたっていうのに、あの子がやってきた途端にすべてが台無しになるだなんて、ひどい話じゃない!?あのときはまだ生きていたんだけれど、今はどうなってるかわからないの。死んでるんじゃないかと思って心配してたんだけどね。ほら、あなたも知ってるとおり私たちはずうっとこの街にいたわけだから、そういうことは結構耳に入ってくるものでしょう?だけどあの子は違うの。ある日いきなりやってきて、そのまま住みついてしまったらしいの。それも、あの子のことを怖がって近寄らなかった他の子たちを押しのけて、自分がここにいるのが一番自然なんだみたいな顔をしていたんですって!それで結局追い出せなかったみたいよ。私はあの子に会ったことがないけど、なんでもとってもきれいで不思議な力を使えるとか聞いたわ。私なんかとは全然似ても似つかない、それはかわいくて綺麗なお嬢さんだったそうよ!ねえ、信じられる?きっと神様が私たちのために使わせてくれた天使さまなんだわ!!そうにちがいない!!!でも可哀想なのはあの男の子よねえ……こんなことになるくらいなら、いっそ会わない方が良かったんじゃないのかしら?だって彼はもともと病弱な人だったんでしょ?そんな人とお姫様のような女の子が出逢ったりした日には、絶対に上手くいくはずないじゃあないか。やっぱりこうなる前に引き離しておくべきだったんだわ。

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