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レモンドの非難など、聞く耳を持たぬ。

会長はそういう態度だった。


運転手が悠々とリムジンのドアを開けると、会長と見られるインテリな風貌の中年男性が降りてきた。

縦ストライプのスーツをビシっと着こなし、こちらでは珍しい黒髪を真ん中で分けている。



「聖女様……で、合っているんでしょうな」

黒い瞳でジッと、疑り深そうに鋭い視線でねめつけてくる。

それをレモンドが、私の前に出て声を荒げた。


「会長! なんて失礼な! あっしの命の恩人だと、他の皆も救ってもらってると、そう説明しただろうに!」

「それには感謝している。だが、諸手を挙げて喜んでばかりもいられない状況になった」

物静かだけど、有無を言わせない物言いは、さすが会長職といったところだろうか。


「一体なんだってんです! ともかくその、攻撃ドローンを下げさせてくだせぇよ!」

やっぱり、あの大きな円盤型はそうだったんだ。



「その聖女様が、人間ではないとしても。か?」

「はぁ? 何いってんだ!」

「ともかく、話がしたい。ついて来てもらおう。レモンド、お前も一緒でかまわない」


「ったく……聖女様、こんなことになってすまねぇです。あいつは、悪いやつじゃねんですが融通のきかんとこがあって……」

レモンドは心底申し訳なさそうに、でも、この場は言うことを聞かないと、どうにもならないだろうと言った。


「はぁ……。いいですけど、ヘンなことしないでくださいね」

――騎士団長もひと目で私を魔族だと見抜いたし、彼もその類かしら。


それで、今度はあのドローンと戦う?

馬鹿馬鹿しい。



「大人しくしてくれるなら、手荒な真似はせん」

彼の頭の上の数字も、70近い。

悪い人ではなさそうなのが、せめてもの救いかもしれないと思いながら言葉に従った。


「会長。ちゃんと説明してくんせえ」

「分かっとるいうとろうが。だが車じゃ落ち着かんだろが」


会長も若干……なまっているのは同郷同士なのかしら。

つられると言うし、ね。

そしてそれ以降、沈黙のまま車で滑るような乗り心地で、会長の屋敷に連れていかれた。



**



会長の屋敷は、工場のように大きなものではなくて、常識的なサイズの、三階建てのお屋敷だった。

両開きの玄関口。その前で降ろされると、中に案内された。


その一階にある応接室で、奥にあるデスクに会長、そして来客用のソファに私とシェナ、正面にレモンドという位置に座らされた。

「会長。聖女様が人じゃねって、なんの話さね」


レモンドが苛立ち紛れに言ったタイミングで、コーヒーがメイドさんによって運ばれてきた。

濃いめに淹れたコク深い匂いに、ママとよく行ったカフェでの記憶が蘇る。

――こんな気持ちの時に、コーヒーの匂いなんて嗅ぎたくなかった。

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