テラーノベル
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千歳とぶらぶら散歩している。運動不足解消のための散歩はずっと続けていて、夏は暑いから早朝散歩だ。あと、おばあちゃんに送る花の写真も相変わらず撮ってる。
俺は、近所のクチナシの生け垣を見上げた。もう少し前なら白い花が咲き誇っていただろうが、今はだいぶ花が枯れて茶色になっている。
「クチナシの花、もう傷んじゃってるねえ」
『でも、まだいい香りするぞ』
千歳(朝霧の忌み子のすがた)が目を閉じて花の香りをかぐ。前に千歳の白ワンピをほめたら、普通に着るようになってしまって、今日も白ワンピ姿だ。いつ買ったのか、麦わら帽子まで被っている。
黒髪ロング白ワンピ麦わら帽子の超絶美少女が普通に隣で歩いてるなんて、想像もしなかったよな。人生に何かバグが起こったんじゃないかと思っちゃうな。
いや、でも、千歳が俺の人生に飛び込んできたのが奇跡みたいなもんだしな。千歳と出会ってから、俺の人生はずっといい方向に向かっていて。千歳の存在が、奇跡みたいなもんだよな。
その奇跡が、道の向こうの公園を指さした。
『あの花、ちっこいひまわりみたいだな!』
千歳が指差す先には、ひまわりをマーガレットサイズに縮めたような、黄色い花の群れがあった。花の名前を調べるアプリで見ると、ルドベキアという名前らしい。
「あの、千歳……」
『うん?』
「その花バックに、1枚撮らせてもらえないかな?」
『ん? ワシ入る必要あるか?』
「まあ、いいからいいから、笑って」
ひまわりみたいな花をバックに、ひまわりみたいに笑う千歳を撮って。俺は、この写真をずっと大事にしようと思ったのだった。
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コメント
1件
めちゃくちゃいい話でした。散歩の風景と千歳さんの呑気さが穏やかで、読んでいてこちらまで柔らかい気持ちになりました。「人生に何かバグが起こった」という表現に主人公の幸せが滲んでいて好きです。ルドベキアを背景に撮った一枚を大事にしたい、という締めくくりがじんわりきました。日常の積み重ねが宝物になる、そんな温かい余韻が残る回でした。