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ふうま
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ふうま
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朝の空気は冷たかった。
訓練を終えたふうはやとりもこんは、そのまま会議室へ呼ばれる。
扉を開けると、すでに数人の幹部が席についていた。
部屋の奥には、ボスが穏やかな笑みを浮かべて立っている。
bs「集まってくれてありがとう。」
その一言で、部屋は静まり返る。
机の上には、一枚の写真。
黒いスーツ姿の男だった。
bs「今日の任務だ。」
ボスが写真を指先で軽く押さえる。
bs「この男が、取引の情報を外部へ流している疑いがある。」
ふうはやは写真を手に取る。
fu「生け捕りですか。」
bs「いや。」
ボスは穏やかな笑顔のまま首を横に振った。
bs「情報を回収したあと、始末してほしい。」
りもこんは一瞬だけ息をのむ。
表情には出さない。
出してはいけない。
bs「任せたよ。」
fu「……承知しました。」
ふうはやは迷いなく答えた。
⸻
車の中。
窓の外を流れる街並みを見ながら、りもこんは静かに口を開く。
rm「一つ聞いてもいいですか。」
fu「何だ。」
rm「もし……。」
少しだけ迷う。
rm「もし、その人が本当に情報を流してなかったら?」
ふうはやは前を向いたまま答えた。
fu「命令は命令だ。」
rm「でも、間違ってる可能性も……。」
fu「考える必要はない。」
短い言葉。
fu「俺たちが判断することじゃない。」
rm「……。」
りもこんは窓へ視線を戻した。
考え方が、違う。
そう思った。
⸻
目的地は、小さな町工場だった。
中へ入ると、写真の男が一人で機械を整備している。
fu「あなたが……。」
男は振り返る。
その顔に、驚きが走った。
mb「なんだ、お前たちは!」
逃げようとする。
しかし、ふうはやが素早く回り込み、動きを止めた。
fu「静かに。」
男は歯を食いしばる。
mb「俺は何もしてない!話を聞いてくれ!」
りもこんの胸がざわつく。
昨日の任務でも聞いた言葉。
あの雨の日の話を、本人は知らないはずなのに。
fu「証拠がある。」
ふうはやは淡々と言う。
mb「嘘だ!娘のために働いてるだけなんだ!」
その言葉に、りもこんの視線が揺れる。
工場の奥。
机の上には、小さなランドセル。
そして、家族写真。
笑っている親子三人。
fu &rm「……。」
りもこんは写真を見つめた。
ふうはやも、一瞬だけ目を向ける。
ほんの一瞬だけ。
しかし、その視線はすぐに男へ戻った。
fu「確認する。」
ふうはやは男の持っていた端末を取り上げ、保存されているデータを確認する。
しばらく画面を見つめる。
fu「……。」
男は息を切らしながら叫ぶ。
mb「見れば分かる!俺はやってない!」
静かな時間が流れる。
やがて、ふうはやは端末を閉じた。
fu「……証拠は見つからない。」
りもこんは思わず顔を上げる。
rm「じゃあ!」
fu「帰る。」
ふうはやは男を解放した。
男は呆然としたまま、その場に座り込む。
rm「え……?」
りもこんは小声で尋ねる。
rm「命令は……?」
fu「証拠がない。それだけだ。」
それ以上は何も言わず、ふうはやは工場を出ていった。
⸻
帰り道。
二人の間には静かな風が流れていた。
しばらくして、りもこんが口を開く。
rm「……ありがとうございました。」
ふうはやは歩みを止めない。
fu「勘違いするな。俺は情けをかけたわけじゃない。証拠がなかった。それだけだ。」
rm「それでもです。」
りもこんは少し笑う。
rm「ちゃんと自分の目で確認した。それだけで十分です。」
ふうはやは返事をしなかった。
だが、その言葉は胸のどこかに静かに残った。
⸻
夜。
ボスの執務室。
mb「報告です。」
部下が頭を下げる。
mb「対象から情報は出ませんでした。」
bs「そうか。始末は?」
mb「……していません。」
一瞬だけ、部屋が静かになる。
部下は緊張した表情で続ける。
mb「ふうはやの判断です。」
ボスは怒らない。
責めない。
ゆっくり紅茶を口に運ぶ。
bs「そう。」
それだけ。
部下は安心したように頭を下げる。
mb「失礼します。」
扉が閉まる。
ボスはカップを机に置き、静かに息を吐いた。
そして、引き出しから一枚の紙を取り出す。
そこには今日の任務の本当の内容が書かれていた。
『対象は情報を流していない。反応を見るための試験。』
ボスは紙を見つめ、ゆっくりと微笑む。
bs「なるほど。」
指先でその紙を折りたたむ。
bs「証拠を優先したか。」
その目は、どこか楽しそうだった。
bs「……いい。実にいい。」
立ち上がり、窓際へ歩く。
夜の街を見下ろしながら、小さく呟いた。
bs「だが、その判断もいずれ利用できる。」
月明かりが、ボスの笑顔だけを静かに照らしていた。
コメント
1件
うわあ、読み終えてしばらく余韻に浸ってしまいました……。 「命令は命令だ」と言い切ったふうはやが、実際に証拠がないと確認したらきっぱり引き返すところ、すごく好きです。りもこんの迷いや「それでもです」の笑顔も、彼女の成長が感じられてじんわりきました。 でも最後のボスの「試験」だったってオチ……背筋が冷えました。あの微笑み、怖いです。でも面白い。続きが気になります。