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「龍聖さんは騙されてるのよ。琴音とはさっさと別れた方があなた自身のため。私には上流階級の知り合いもたくさんいるわ。だから必ず龍聖さんを幸せにできる」
「お姉さん。琴音はお金のために誰かを利用したり、人を騙すような人間では断じてないです。本当に心の綺麗な素晴らしい女性なんです。俺は、琴音だから結婚しました。あなたとは……これから先、何があっても結婚なんてしない」
少しキツめの口調になっている自分に気づきながら、そのトーンを弱めることはできなかった。
今、はっきり言わないとこの人は……
「な、何よっ! あ、あなたはもうそこまで洗脳されてるのね」
「洗脳? もういい加減にして下さい。琴音はあなたの妹です、家族なんです。お願いですから、琴音のこと、もっと信じてあげてもらえませんか? これではあまりにも……」
「あの子はパパを奪ったの。私にはパパしかいなかったのに。私の目の前でパパに甘えて。その上、あなたまで騙して。私は……あなたを救いたいのよ……」
お姉さんは、ソファに座る俺の隣にわざわざ移動し、真っ直ぐに見つめてから、手を伸ばして頬を触ろうとした。その顔に、ゾッとするような色気をまとわせて。
俺は反射的に顔を背け、表情を曇らせた。
「お姉さん。俺は、琴音を誰よりも大事に思ってます。必ずあいつを幸せにします。だから、お姉さんは自分自身の幸せをちゃんと見つけて下さい。もちろん、あなたは私の身内ですから、そのためのお付き合いはさせていただきます……。ですが、これから先、俺達夫婦のことに関しては一切干渉しないで下さい」
「そ、そんな……」
「すみません。時間ですので失礼します」
「龍聖さん、待って!」
その言葉には反応せず、一礼をし、俺は振り向かずに会議室を出た。