第28章:黒き空と、雷鳴の翼
地球――
今、その空は禍々しい漆黒に覆われていた。
ルシフェル軍・カティナ率いる黒翼部隊が、
かつてゲズが一時暮らした人類の大都市“エデンシティ”の上空に現れた。
カティナ「懐かしいわね……かつて、この空を支配したのは私たちだった」
彼女の命令で、黒翼部隊が一斉に降下。
その矛先は、海底に封じられた“神核の断片”だった。
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【1. 地球再上陸】
その報を受け、ゲズとセレナも急行する。
空を裂いて飛行する中、セレナが不安げに言う。
セレナ「ゲズ、大丈夫? あなた……この星に来るの、久しぶりなんでしょ」
ゲズ「……ああ。でも、なぜか懐かしい感じがする。
ここで……何か、大切なものを失った気がするんだ」
その言葉に、セレナは胸を痛めながらも黙ってうなずいた。
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【2. カティナとの再会】
ゲズたちが地上に降り立った時、
カティナは彼らを待ち受けていた。
その姿はまるで“死を操る女神”のように冷酷で、
彼女の背後には、以前よりも遥かに強化された軍団が控えていた。
カティナ「来たわね、英雄たち。……特にあなた、ゲズ。
あなたの“本当の名前”、知りたくない?」
ゲズ「……何を言ってる」
カティナ「あなたの村、あなたの両親。雷の守護を受けた民。
すべてを焼き払ったのは、私よ。あなたが眠っていたあの日――
あなたは、自分の力で“村を灰に変えた”。」
ゲズの心に衝撃が走る。
目の前が一瞬、暗転する。
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【3. 記憶の断片】
突如、激しい耳鳴りと共に、過去の記憶が流れ込む――
赤い空。
叫ぶ母の声。
「ゲズ!逃げなさい!」という叫び。
そして、天から落ちる雷――
子供の声「……みんな、死なないで……!うわあああっ!!」
光と雷の爆発。
村のすべてが白く、そして黒く染まった。
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【4. 再覚醒、そして戦闘開始】
ゲズは目を見開く。
その目には“涙”と“怒り”が共に宿っていた。
ゲズ「……あの時、俺が……!」
セレナ「違うわ! あれはあなたのせいじゃない!
あなたが生き延びたことが……今を繋いでる!」
セレナの叫びに呼応するように、
ゲズの体から新たな“雷の紋章”が浮かび上がる。
ゲズ「なら……俺の力で、未来を守る!」
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【5. 雷と黒翼の激突】
ゲズが雷の剣を手に走る。
黒翼部隊が一斉に襲いかかるも、すべてを雷が薙ぎ払う。
セレナも術式を展開し、味方を回復しながら支援。
だが――カティナの力は桁違い。
カティナ「あなたは強くなった。だけど――私も“神の黒血”を得たのよ!」
巨大な黒翼を広げ、カティナは魔弾の嵐を放つ。
ゲズは何発かをまともに受けて吹き飛ばされるが、
立ち上がる。
ゲズ「俺の名は……“ゲズ”。
この名は、母さんが俺にくれた名前だ。忘れてたわけじゃない……心の奥で、守ってた!」
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【6. 決着への兆し】
ゲズの雷が暴風のように地を駆ける。
そして雷の剣は、カティナの翼をついに“裂いた”。
カティナ「まさか……貴様、あの時の子供がここまで……っ!」
だが――彼女は完全には倒れない。
カティナ「ふふ……いいわ。じゃあ、次は“彼”を出してあげる。
英雄だった、彼を――」
その声とともに、虚空に“黒い柱”が立ち上がる。
ウカビルの存在を、予感させる。